不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

法令

空き家3000万円控除申請時の注意点

空き家3,000万円控除が制度が改正され延長されました。
この申請や延長されたことについては昨月のブログでご紹介されていますが、
2月の確定申告に向けて準備をされている方もいらっしゃると思います。

この制度を利用するためには、「被相続人居住用家屋等確認申請書」を
確定申告の際に税務署に提出する必要があります。
また、この申請書は、その不動産の所在地の役所に申請書に必要書類を添付の上
申請する必要があります。

必要な書類は、家屋をそのままの状態で売却するか、また建物を解体して
更地で引き渡すかによって変わってきます。その中で、建物を解体して
更地で引き渡す際には必要書類の中で注意を要する書類があります。
それは「建物の解体前及び解体後の写真」です。
建物の利用状況を確認するため、解体前後の写真を添付する必要がありますが、
これを把握せず写真を撮影していないと、必要書類が揃わず制度の適用が受けられなくなる
可能性があります。

この写真は後から手配できるものではありませんので、本制度を適用する予定の場合
必ず解体前後の写真を撮影しておく必要がありますのでご注意ください。
(本制度の適用の可否については、不動産業者や管轄税務署にご確認ください。)



不動産広告の距離表示

不動産の広告をみると「○○駅から徒歩○分」と表示されており、
この表示で不動産の利便性を判断されている方も多いのではないでしょうか。

この「徒歩○分」という表記は、「不動産の公正競争規約」というルールに基づいて
表記されており、具体的なルールは下記のとおり統一されています。
○徒歩による所用時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。
○この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。

また、もう少し詳細なご説明をすると、
○距離は直線距離ではなく道路距離であること。(信号待ち等は考慮せず)
○駅までの距離は、「建物の入り口」から「駅のホーム入口」までの距離。
というルールがあります。
※令和4年9月1日より規約が改正され、従前は「敷地の出入り口」が起点でしたが、改正後は「建物の入り口」に変更されています。特に大規模マンション等になると、敷地入口から建物エントランスまでの距離があり、改正後はより具体的な分数が分かるようになりました。

上記のルールにしたがって表示されているため、実際に歩いた分数との違いは
出てくると思います。(信号待ちが考慮されていないことや、複数路線乗り入れが
ある駅だと、利用する路線によって分数が変わります。)

不動産を検討される際に、現地をよく確認することはもちろんのこと、
実際に駅まで歩いてみてどれくらいの時間がかかるかも
確認されることをお勧め致します。

既存不適格物件

土地に建築物を建築する際には、必ず法令による制限があります。
代表的なものは「都市計画法」と「建築基準法」ですが、この法令は
都度改正がされており、建物が建築された当時と、現在の法令が違うケースがあります。

例えば、建築基準法に定めれた「建蔽率(けんぺいりつ)」と「容積率」という制限があり、
名古屋市内の一般的なエリアですと
建蔽率 60%
容積率 200%
に定められています。(用途地域によっても変わります)

簡単に建蔽率と容積率の制限をご説明しますと、
建蔽率:敷地面積に対する建築面積の割合
容積率:敷地面積に対する延床面積の割合
となります。

例えば、敷地面積100㎡の土地で、上記の建蔽率・容積率の制限であれば、
建蔽率:60%なので、建築面積は60㎡まで
容積率:200%なので、延床面積は200㎡まで
となります。

しかしながら、容積率については、昭和46年に全国的に容積率の指定が施行されるまでは、
容積率の制限が課されていないエリアが多くありました。
したがって、昭和46年以前に建築された建物は容積率の制限を受けていない可能性があります。

現行法令の容積率を超過している場合、建築当時は適法に建築されたが、
法令が改正されたことにより現行法令を適していない建物を「既存不適格物件」と呼びます。
この「既存不適格物件」は、あくまで建築当時は適法であったため、「違法建築物」とは違い、
現況で利用する場合は問題になりません。
しかしながら、仮に建物を取り壊して建替えをする場合には、現在の法令に適した容積率に
する必要があることから、従前の建物と同規模の建築物が建築できないケースがあります。

上記は「既存不適格物件」における容積率についての例を記載しましたが、それ以外にも
法令は都度改正されているため、現行法令に適しているか確認することが重要です。
また、既存不適格物件を購入する場合、どの部分が「既存不適格」なのかを確認し、
建替えも含めて目的に合致しているか確認することが重要です。

不動産取引時に電子書面での提供ができるようになりました!

2022年5月18日から、重要事項説明書、契約時締結書面、媒介契約時締結書面等の
電子書面による提供が可能となりました。

「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」において、押印
を求められた行政手続き・民間手続について、その押印を不要とするとともに、民
間手続きにおける書面交付等について電子書面により行うことを可能とする見直し
が行われてきました。
宅地建物取引業法関連においては、電子書面での提供の他に、宅地建物取引士の押
印が廃止される等が改定されました。

これまでも2021年3月30日から、不動産の売買取引に係る「オンラインによる重要
事項説明」(IT重説)の運用は開始されていましたが、IT重説を実施する際に、宅
地建物取引士が記名・押印済の重要事項説明書を事前にお客様へ郵送する必要があ
りました。
今回の改定により、書面への宅地建物取引士の押印が不要となり、電子書面(PDF等)
での提供ができるようになり、インターネット環境さえあれば自宅での対応も可能
なため「時間・費用コストの削減」や「日程調整しやすい」等の利便性が高まりま
す。
一方で、利用する端末(パソコン、テレビ、タブレット等)のカメラの解像度
や音声の質等について、一定以上の環境性能を持ったツールの導入や、セキュリテ
ィに関する対応等も必要となってきます。

IT重説等が認知され、一般的な普及には時間も要しますが、今後、お客様からの要
望や依頼に対して、速やかに対応できるよう態勢を整えていきたいと思います。

おとり広告

1月26日に首都圏不動産公正取引協議会より、「インターネット賃貸広告の一斉調査報告
(第10回)」及び「インターネット売買広告の一斉調査報告(第1回)」が公表されました。

賃貸広告では、同協議会のポータルサイト広告適正化部会の構成会社4社(㈱アットホーム、
㈱CHINTAI、㈱LIFULL、㈱リクルート)が運営する不動産情報サイトにおいて
2021年11月~12月に掲載されていた賃貸住宅の広告から、一定のロジックに基づき、契約
済の「おとり広告」の可能性が極めて高いと思料される401物件を抽出。これらの物件を掲
載していた業者30社を対象として調査。また、売買広告については、㈱CHINTAIを除
く3社において、2021年10月に掲載されていた売買物件の広告から、契約済の「おとり広告」
の可能性が極めて高いとされる232物件を抽出。これらの物件を掲載している事業者62社を
対象として調査を実施。

結果、賃貸広告は、401物件のうち47物件(11.7%)が「おとり広告」として認められ、事
業者別では、30社のうち13社(43.3%)に「おとり広告」が認められた。また、売買につい
ては、232物件のうち27物件(11.6%)が「おとり広告」と認定され、事業者別では、62社
のうち17社(27.4%)の広告が「おとり広告」と認められた。

「おとり広告」とは、顧客を集めたり、手もちの物件を売るために、売る意思のない条件の
よい客寄せ用の物件等の広告をいいます。
インターネット広告においては、成約済物件を広告の更新予定日を過ぎても削除せず、サイ
ト上に掲載し続けることも「おとり広告」とみなされます。
当然ですが、これらの行為は、宅地建物取引業法32条に違反し、不動産の表示に関する公正
競争規約21条で禁止されています。

賃貸、売買とも、「おとり広告」として違反が認められた事業者については、内容に応じて
一定の措置を講るとのことですが、このような行為は、われわれ宅地建物取引業者の信頼を
失いかねません。
「おとり広告」をしないために、情報登録日、直前の更新日、次回の更新予定日等を明確に
表示し、リアルタイムに成約状況を確認のうえ、適切に対処する必要性を改めて感じます。
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