用語
区画整理地など、新しく開発された街並みでは、隣接地との境界がはっきりしているため、越境関係が生じている可能性は低いのですが、古くからある街並みでは、確定測量をして、お互いの境界が確定すると、雨樋や塀の一部が隣接地にはみ出していたり、隣接地からはみ出ていることが少なからずあります。
構造物が隣接地へはみ出していることや、隣接地からはみ出ていることを、不動産取引上「越境」といい、越境している構築物を「越境物」といいます。
越境物がある場合は、すぐに相手方に撤去を求めることはせず、再構築が必要になったときには、今回決まった境界を順守するとする、覚書を取り交わすことで、解決していくことが多いです。
越境物は、建物の一部や、塀などの構築物に多いですが、稀に敷地の上空に電線や支線が通過していることがあります。その場合は、電線等を所有している電力会社などへ、その電線や支線が通っている電柱に記載されている電柱番号を伝え、撤去を要請することになります。
電線等は、建物の上空を通過しているため見落としがちです。また、電力会社などに撤去を要請してもすぐに撤去してくれませんので注意が必要です。越境関係を確認する際は、建物だけではなく、空を見上げ、建物の上空を確認することが必要です。
記事は、2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げの際、増税後も価格が大して変わらないのに「今買わなければ損」などと消費者をあおる行為の防止策をめぐる議論が政府内で浮上しているというものでしたが、その記事内に、どんな行為を「あおり」と呼ぶのか今後の論点となりそうだと掲載されていました。
私が働いている不動産業界では、「あおり」という言葉は、長らく問題になっています。
“あおり と 不動産”を一緒にインターネットで検索すると、不動産業界の“あおり”の問題が多数出てきます。
不動産業界でいう“あおり”とは以下のような文言で、お客様を焦らすことを言います。
・今日決めないと、他の方が買ってしまいますよ。
・あとから見られるお客様が申し込むかもしれませんよ。
しかし、不動産は、唯一無二のものであり、買い逃したことを後悔されるお客様もいらっしゃるのも事実です。
以前買い逃したお客様で、「なんとか買えませんか」と訴えられるお客様もいらっしゃいました。
そのような経験があるため、物件のご紹介後には、さらっと「他の方で決まってしまう場合もありますので、その際はご了承ください。」と、確認のためお伝えします。
不動産は高い買い物になりますので、あおりを受けることなく、慎重に選んでいただければと思いますが、自分が良いと思ったものは、購入を決めるための決断をすることが必要だと思います。
タイトルだけ見るとなんのことだかわからないですね。
M&Aとは「Mergers(合併)andAcquisitions(買収)」の略で、2つ以上の企業が一つになったり(合併)、ある企業が別の企業を買ったりすること(買収)をいいます。M&Aというと新聞などで報じられるような大企業同士の派手な合併や買収といったイメージがありますが、中堅・中小企業においても経営者の高齢化に伴う後継者不足解決の手段として、また、事業の選択と集中、事業の再構築などを図る手段としてM&Aは活用されています。弊名南コンサルティングネットワークにおいても、名南M&A㈱という部門が存在しており、中堅・中小企業のお客様を対象にM&Aの支援業務を手掛けています。
次にDDとは、「Due Diligence(デュー・ディリジェンス)」の略で、Dueは「当然、行うべき~」、Diligenceは「努力、注意」を意味します。不動産投資やM&Aの世界では頻繁に用いられる用語で、M&Aの場合では、譲渡企業の決算書だけでは見えない簿外債務や将来発生しうる損害等のリスクを把握するために行われ、その範囲は「財務」「法務」「ビジネス」「人事」「環境」などに分類されます。
さらにERとは「Engineering Report(エンジニアリングレポート)」の略であり、不動産の物理的な調査として対象建築物の現状を調査したレポートであり、主として以下のような項目について調査が行われます。
- 建物状況調査等
建物現況調査
遵法性調査
修繕更新費用算定
再調達価格算定 建物環境リスク評価
土壌汚染リスク調査
地震リスク(PML)調査
筆者も不動産証券化に関連する業界に在籍していたときはよくERの調査に立会いました。ER会社の調査員たちは『打診棒』といわれる先が丸くなった棒を持って10数階建のビルの屋上の際の部分で怯まずコンコンと外壁を叩きます。タイルが浮いてないかを調べ、剥落するリスクがないかを確かめるためです。オフィスビルなどでは屋上には手すりがないため、転落しはしないかと立ち会っている我々の方がビクビクしていました。
ただ、ERの取得については、投資家からお金を集めて不動産に投資するといった不動産証券化の世界では必須の手続きなのですが、1件あたりおよそ100万円以上の費用がかかることからM&Aの世界ではあまり頻繁に用いられることはないようです。
今回、買収する方の社長様のご意向により被買収先が所有する不動産についてリスクを明確にしておきたいとのことでERを取得することになりました。調査結果が数字で詳らかになるER。M&AにおけるDDでももっと用いられてもよいのかもしれません。
インスペクションとは、建物の基礎、外壁等に生じているひび割れ、
雨漏り等の劣化事象・不具合事象の状況を目視、計測等により調査するものです。
平成28年5月27日に、宅地建物取引業法改正案が参議院で成立し、
宅地建物取引業者は、インスペクションを実施する者のあっせんに関する事項の
媒介契約書への記載、インスペクションの結果の買主への説明等を義務付けられる可能性が高くなりました。
※今のところ、改正案はインスペクションを強制するものではありません。
国が宅地建物取引業の改正を進めているのは、インスペクションを利用することで、
買主の住宅の質に対する不安を払拭し、売主・買主が安心して中古住宅の取引ができる市場環境が
整備されることを期待してのことです。
ただし、インスペクションのサービスは以前からありましたが、
現状では普及しているとは言い難い状況です。
それは、これから売却する自宅にわざわざ費用を掛けて、
“あら”を探すような行為はしたくないという売り手の心情があること。
また、買い手がインスペクションを利用するためには、
購入を検討している中古住宅の売り手からの承諾が必要になることや、
調査している最中に他の買い手が現れれば、費用が無駄になることも考えられるからです。
しかし、建築士等建物の専門家が実施するインスペクションが普及すれば、
中古住宅の取引の透明性は高くなるように思います。
インスペクションの費用は、サービスを提供する会社や内容により異なりますが、5~15万円のようです。
この費用がインスペクション普及の足かせになるとは思いますが、隣接地との境界を確定させるための測量の費用のように、建物の状況を買い手に説明するための、不動産を売却する諸経費(売主側の費用)の一つとして周知されることになれば、インスペクションがより普及することになるのではと考えています。
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