不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

田上

修繕積立金 段階増額積立方式と均等積立方式

日経新聞などによると、国土交通省が、修繕積立金の段階増額積立方式の値上げ幅について、目安を示す方針とのことです。

修繕積立金について、国土交通省は以前より、均等積立方式を推奨していますが、いまだ、段階増額積立方式のマンションが多くなっています。それは、購入者の
当初の月額負担を軽減し、販売しやすくしているからです。

私のマンションも同じです。私のマンションでは、分譲時にデベロッパーより、①修繕積立金を改定せず、計画的な修繕を実施する際に不足する分を一時金として徴収する案と、②一時金を徴収せず、積立金のみを定期的に改定して対応する案が示されました。

①の案
修繕積立金を月額5,840円とし改定はないものの10年ごとに一時金が発生。
≪一時金≫
○10年目 499,900円
○20年目 1,721,800円
○30年目 748,500円

②の案
≪一時金の徴収無し≫
○1~7年目   月額5,840円
○8~11年目  月額11,120円
○12~15年目 月額16,800円
○16年目以降  月額20,800円(当初金額の約3.5倍)

管理組合結成後、総会の決議により、②に決定しましたが、一時金が大きいことがネックとなり、均等積立方式は選択されなかったと思います。築10年を超え、大規模修繕の時期が迫ってきています。修繕計画作成時よりインフレの影響が大きく、費用が足りなくなる可能性が高くなっています。マンション分譲当時に①の案で一時金のない正真正銘の均等積立方式(月額15,000円程度ぐらい)を提案してくれて、管理組合として選択できていたら、今後の値上げに苦労せず、今よりも安心な将来設計ができていたかもしれません。

(ただし、修繕積立金が当初の10倍を超えるマンションもあるとのことですので、私のマンションは、まだいい方なのかもしれません。)

国土交通省が、
修繕積立金の段階増額積立方式の値上げ幅について、目安を示せば、デベロッパーが過度に当初の修繕積立金を低く抑えられなくなりますので、購入者は、今よりも安全な資金計画を立てられると思います。

インバウンド回復、観光地の地価上昇!?

日本政府観光局(JNTO)が、10月18日に公表した、2023年9月期の訪日外客数は、2,184,300人で、この数値は、新型コロナウィルスの影響を受ける前である2019年同月比の9割を超えています。

 

私は名古屋駅で働いていますが、インバウンドが増えてきたなと実感しています。

 

さて、インバウンドの数ですが、令和4年10月に⽇本政府が個人旅⾏の受け入れや査証免除措置の再開等を実施したことを受け(為替も関係していると思いますが)、増加の一途をたどっています。

●令和4年 8月 169,902人

●令和4年 9月 206,641人

●令和4年10月 498,646人(9月比 2.4倍)

●令和4年11月 934,500人(9月比 4.5倍)

●令和4年12月 1,370,000人(9月比 6.6倍)

 

令和5年都道府県地価調査では、インバウンドを含めた観光業の復活により地価が上昇したことが公表されています。国土交通省が都道府県地価調査の結果を公表する際に「特徴的な地価動向が見られた各地点」をあげていますが、観光地の地価動向について、令和4年で注目されたのは7地点だったのに対し、令和5年は18地点と倍以上増加しています。例えば、長野県白馬村(5-2)では27.3%(令和4年は13.3%)上昇したことを伝えています。この地点では、インバウンド需要が回復傾向となっていることから、外国人向けのホテル建設や高級貸別荘等への需要が旺盛となり地価の高い上昇が継続しているそうです。地域により異なりますが、観光地の地価は上昇傾向にあるようです。

 

さて、観光地の地価の上昇は今後も続くのでしょうか。来年3月には、1月1日を基準日とした地価公示が発表されますので、上昇率がどのような推移になるのか注目したいと思います。

空家対策に取り組む状況について

9月27日に国土交通省が、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)の施行状況等について、地方公共団体を対象にした調査の結果を公表しました(調査は令和5年3月31日時点)。

【調査のポイント】
①全国1,741市町村のうち、空き家対策に関する計画は、1,450市町村(83%)で策定され、法定協議会は992市町村(57%)で設置されている。

②平成27年の法律の施行から令和4年度末までに、空家法第14条に基づく特定空家等に対する措置が、41,476件講じられている。

(特定空家)
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

助言・指導 37,421件
勧告 3,078件
命令 382件
行政代執行 180件
略式代執行 415件 合計41,476件

③空家法の施行から令和4年度末までに、空家法に基づく措置や市区町村による空き家対策によって、168,198件の管理不全の空き家の除却や修繕等が進んでいる。

・空家法の措置により除却や修繕等がなされた特定空家等 22,148件
・上記以外の取組により除却や修繕等がなされた管理不全の空き家 146,050件 合計168,198件

◎国交省は、改正空家法の施行に向けた空き家対策の現在地として公表しています。
改正空家法は、令和5年6月14日に公布されており、公布の日から6ヶ月以内に施行されます。
空家法の施行により、特定空家の数の把握や対応等進んできたと感じます。
また、空き家等の譲渡所得3,000万円控除など税制も空き家対策一役買っていると思っています。
空き家等の譲渡所得3,000万円控除に係る確認書の交付実績を見ると毎年交付件数は増えています。

平成28年度 4,472件
平成29年度 7,033件
平成30年度 7,665件
令和元年度 9,676件
令和2年度 9,824件
令和3年度 11,976件
令和4年度 12,956件

○改正空家法が施行されると、固定資産税の住宅用地特例の解除について、現行では特定空家に対する措置でしたが、管理不全空家等(放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等)にも範囲を広げるなど、特定空家化を未然に防止する制度にしています。
 現行→市区町村長から勧告を受けた特定空家の敷地について固定資産税の住宅用地特例を解除。
 改正→市区町村長から勧告を受けた管理不全空家の敷地についても、住宅用地特例を解除。

 住宅用地特例 200㎡以下の部分 固定資産税の課税標準を6分の1に減額
        200㎡を超える部分 固定資産税の課税標準を3分の1に減額

その他、相続登記の義務化など、ここ数年空き家の対策が進んでいると感じています。加えて、中古住宅の流通量を拡大させるなど、空き家が問題になるのではなく資産となるような社会になってほしいと思っています。
 





築地市場跡地にスタジアムができる!?

日本経済新聞によると、東京都が事業者を募集した築地市場跡地の再開発事業について、三井不動産を中心とする企業連合が、ホテル、オフィス、住居棟などを設ける多目的スタジアムを作ることを計画し、名乗りを上げているとのことです。

東京のスタジアムと言えば、東京ドームが連想されます。東京ドームは、2021年に、築地市場跡地の再開発事業者に名乗りを上げている三井不動産が、読売新聞と共同で買収しています。東京ドームは1988年の開業から30年以上がたち老朽化しているとのことで、築地にスタジアムができた場合は、読売巨人軍のホームスタジアムになる可能性もあるそうです。

昨年には、北海道にエスコンフィールドHOKKAIDOが完成し、北海道日本ハムファイターズのホームスタジアムになっています。今までの野球場とは違い、ホテルや温泉、店舗などの複合施設となっていることで話題になりました。

また、エスコンフィールド周辺では、ホテルやマンションの建設が計画されているなど、土地の価格が急上昇していることも報道されました。

今回の計画が進行した場合、どのような多目的スタジアムが築地市場跡地に完成するのか楽しみです。再開発事業が進めば、周辺の環境も様変わり、盛り上がると思います。今後も築地市場跡地の再開発事業に注目したいと思います。

マンションの住民が損害を賠償することもある!?

 2020年に神奈川県逗子市にて、マンションの敷地にある擁壁が崩れ、人を死亡させる事故が起きました。その事故で遺族がマンションの管理会社などを訴えていましたが、先月、遺族とマンションを区分所有する住民らとの和解が成立し、住人らは遺族へ1億円の和解金を支払うことがニュースで報道されました。

 遺族は、マンション管理人が事故前日に擁壁に約4メートルの亀裂があるのを発見して管理会社に連絡したにもかかわらず、管理会社は対応を怠ったとしています。また、危険な敷地(傾斜地)に建つマンションを区分所有する住民にも責任があるとして訴えていました。※住人らとの和解は成立していますが、管理会社などは争う姿勢で訴訟は継続しています。

 私は、マンションに住んでいますが、マンションの敷地や建物本体などの共有部分が原因で事故が起きた場合、住民が損害を賠償することもあるのだと少し驚きました。本件の場合、例えば、このマンションの戸数が50戸とすると、1戸あたりの和解金の負担額は200万円になります。かなり大きな金額と言えます。

 さて、マンションの共有部分が原因で事故が起きた場合、区分所有者はどのような責任を負うのでしょうか。

 民法第717条第1項では、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」と記載されています。
  
 そのため、まずは占有者が責任を負うことになります。マンションで占有者とは住人になると思いますが、区分所有者の方もいれば、賃借人の方もいると思います。しかし、例え貸していたとしても、賃借人が必要な注意をしたときは、区分所有者が責任を負うことになります。なお、区分所有者は故意や過失の有無にかかわらず責任を負います。

 私のマンションでも管理人さんが、外壁のタイルの剥がれなど常時確認しています。過去にはタイルの浮きが確認されたので、理事会で直ちに検討し費用をかけて修理しました。修理を先延ばしして事故を起こすと修理代だけで済まなくなるという事は想像はできていても、この様なニュースを見ると、修理しておいてよかったと感じます。

 本件のように傾斜地に建っているマンションもあります。危険なわけではないと思いますが、最近では大雨等の自然災害も多いため、定期的に擁壁の状態について確認すべきですし、建物本体についても外壁のタイル等の剥がれなど、日常点検が重要だという事を再認識しました。

≪夏季休業のご案内≫
弊社では、誠に勝手ながら下記日程を夏季休業とさせていただきます。
■夏季休業期間
8月11日(祝)~ 8月15日(火)
休業期間中にいただいたお問合せについては、8月16日(水)以降に順次回答させていただきます。
皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解の程お願い申し上げます。
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