不動産コンサルタントのつぶやき

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都市

「飛翔」移転計画

先日の中日新聞や日本経済新聞の紙上にて、
リニア中央新幹線開通計画に伴い、
名古屋駅東口のロータリーにあるモニュメントを
2年以内に移転する計画があることが発表されました。

私もこの記事を見るまで、このモニュメントの名前を知らなったのですが、
「飛翔」という名前のモニュメントとのことです。

この「飛翔」は市政100周年を記念して、1989年(平成元年)に設置されたもので、
調べてみると、災害時にはユニモールからの避難所の役割も果たしているそうです。

具体的な移転先は決まっていないそうですが、個人的には
デザインもロータリーに合っていて、これが無くなるのは寂しいと感じますが、
名古屋駅の再開発にあたり、確かにこのモニュメントのある場所は
歩道やタクシー乗り場、駐車場等活用の幅は広く、
移転したほうが開発としては良いと感じます。

移転も含めて、これからの名古屋駅がどのように変わっていくのか注目です。

新陳代謝を続ける名古屋駅周辺について

 昨年4月のJRゲートタワーの商業施設部分の開業に続き、10月にはささしまライブ地区でグローバルゲートが開業したことにより2010年代初頭より続いてきた名古屋駅周辺での大規模な再開発は一段落したことになります。名古屋駅周辺における大規模再開発は2020年代初頭から始まる名鉄・近鉄名古屋駅再開発を待つことになりますが、リニア中央新幹線の開業を睨み、中小規模のビルについても築年数が経過したものを中心に建替えなどの動きが顕在化してきており、街の新陳代謝が活発になっている感があります。現時点で動きがあるものをいくつかご紹介したいと思います。


1. 「名古屋三交ビル建替え計画」
旧「名古屋三交ビル」は1974年に建築された地下2階・地上12階建の店舗・オフィスビルでしたが、現在解体工事が進められています。建替え後は地下1階・地上16階建のビルとなり、1階が店舗、2~7階がオフィス、8~16階が客室数128室のビジネスホテル(三交インGrande)という構成になる予定で、地下鉄桜通線「国際センター」駅と地下1階でエレベータによるバリアフリー接続が図られる予定です。2020年6月の開業が予定されています。

三重交通グループホールディングスと三交不動産によるプレスリリースhttp://re.sanco.co.jp/news/docs/release170530.pdf
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2. 「第二堀内ビル」跡地と「第五堀内ビル」解体現場
「第二堀内ビル」は1974年に建築されたビルで既に解体が完了し、現在はコインパーキングとして利用されています。隣接する「第五堀内ビル」は1階に入居するあんかけスパの「チャオ」が割と最近まで営業していたような気がしますが、現在は解体が進められています。跡地の具体的な利用計画は明らかにされていません。所有者は地元資本の大地主であり、今後単独で再開発を進めるのか、どこかと組んで事業を進めるのか気になるところです。
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3. KOMEHYO(コメ兵)名駅店と(仮称)名古屋三井ビルディング北館
ミッドランドスクエアとモード学園スパイラルタワーに挟まれた街区です。かつて、「三井北館」、「菱信ビル」、「白川第三ビル」という3つのビルが寄り添うように建っていましたが、順次解体され、一部は「M4テラス」という商業施設として暫定利用されていました。名古屋駅前の超一等地ともいえる街区であることから地権者がまとまれば大名古屋ビルヂングやミッドランドスクエアに匹敵するような大規模な再開発が可能なポテンシャルを秘めた場所だったのですが、どうやら地権者がまとまらなかったようで、最後に解体が行われた「菱信ビル」の跡地の北側では、昨年5月に「コメ兵名駅店」がオープン、同12月には三井不動産が「(仮称)名古屋三井ビル北館」として地上20階建のビルを建設する計画であることが報じられました。すなわち、街区一体としての再開発ではなく、細分化された利用方法となってしまうわけです。名古屋の顔ともいえる場所の一部だけになんとも残念な気がします…。
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 なお、当ブログでは、今後も再開発の状況も含め、街の様子などをお伝えできればと考えております。

 ※写真の撮影日:2018年3月9日

「丸栄」再開発で栄はどうなる?

名古屋の中心部、栄にある百貨店「丸栄」の親会社である興和は、同百貨店を閉店して建物を解体し、2020年をめどに新しい商業施設を開く方針であるとの報道がなされました。名古屋の主要な百貨店である松坂屋、名鉄百貨店、丸栄、三越、タカシマヤの頭文字からとった「4M1T」の一角が消滅することになり、地元では驚きをもって受け止められたようです。

報道によると、現在の丸栄と広小路通を挟んで北側の「ニューサカエビル」や「栄町ビル(名古屋国際ホテル)」が存する街区を一体開発する方針であるものの、一部地権者と折り合いがついていないため、丸栄のある街区を先行して再開発するとのことです。東京・赤坂にある「東京ミッドタウン」のような複合型商業施設をイメージしており事業費が2,000億円規模の巨大プロジェクトとなる見通しとのことです。

ところで、この再開発を行う興和という会社ですが、一般的には「コルゲンコーワ」や「キャベジンコーワ」、最近では「バンテリン」に代表されるカエルのマスコット(ケロちゃんコロちゃん)で有名な薬品会社というイメージが強いですが、実はそれだけではなく、観光スポットの展望台に置いてあるような双眼鏡を作っていたり総合商社としての機能を有していたりと様々な事業を展開している企業です。本社を置く名古屋では丸栄を始め、名古屋観光ホテルの親会社であり、ウェスティンナゴヤキャッスルなどを運営するナゴヤキャッスルの筆頭株主であるなど地元経済界において極めて重要な地位を占めています。

,000億円という事業費ですが、名古屋ではJRセントラルタワーズや今後行われる名鉄・近鉄名古屋駅の再開発の事業費に匹敵する規模であり、東京と比べても六本木ヒルズの総事業費約2,700億円には及ばないものの東京都庁の建築費約1,600億円(当時)を上回っており、地方都市である名古屋においては如何に規模が大きいかということがわかります。

非上場企業であり長期的な視点で再開発に取り組める興和といえども連結売上高約3,500億円の同社にとって単独で2,000億円規模の投資は無理があることから他社と組んで事業を行うことになるのでしょうが、三菱地所や三井不動産、日本郵政など東京資本の存在感も目立つ名駅地区に対して、今のところ東京資本の進出があまり見られない栄地区で興和がどのような資本を引き入れるかについても注目が集まりそうです。

さて、興和がお手本にしようとしている「東京ミッドタウン」ですが、三井不動産が防衛庁跡地で手掛けた再開発プロジェクトで今から10年前の2007年に開業しました。オフィスビルやホテル(ザ・リッツ・カールトン東京)、高級サービスアパートメント、美術館(サントリー美術館)などで構成される複合施設であり、敷地面積だけで約68,900㎡という規模を誇ります。一方、地図上の概測になりますが、栄の方は、現丸栄の敷地部分が約5,000㎡、ニューサカエビルや栄町ビルのある街区が約6,500㎡(興和の所有になっていない安藤証券の敷地も含む)であり、両街区を合わせても約11,500㎡であり、敷地規模の面では東京ミッドタウンには遠く及びません。同じく三井不動産が日比谷で手掛けている「東京ミッドタウン日比谷」(2018年3月開業予定)の敷地規模が約10,700㎡ですので規模としてはこちらの方が近くなります。ただし、栄は街区が2つに分かれていることから、大阪・中之島の「中之島フェスティバルタワー」のようなツインタワーになる可能性が高いのではないでしょうか。

ただし、順調に再開発が進んでいくのかという点については、個人的には少し懸念しています。まず、栄地区においては同時期に中日ビルの解体・再開発も予定されています。規模としては丸栄の再開発に近い規模になるものと思われますが、栄地区が両再開発による店舗面積の増加をすんなりと吸収できるのかという点です。また、地区間競争という点では、金山地区の台頭というのも栄地区にとっては脅威になります。金山地区では、日本特殊陶業市民会館やアスナル金山の再開発が控えており、セントレアや自動車産業の拠点である西三河地区へのアクセスの良さから今後、金山地区のポテンシャルが上昇し、栄地区の相対的地位がさらに低下してしまう可能性もないとはいえません。当然、2020年以降、東京オリンピックという一大イベントが終了した後どうなるかわかならいマクロ経済の影響もそのまま受けるでしょう。果たしてどうなっていくのでしょうか。

なお、名古屋ですが、都市の経済規模の割にはラグジュアリーホテルが少なすぎると思っている方は多いのではないでしょうか。丸栄や中日ビルの再開発や名鉄・近鉄名古屋駅の再開発で建つビルにリッツ・カールトンやペニンシュラといった外資系のラグジュアリーホテルは進出するのでしょうか。また、東京や大阪と比べると名古屋には美術館や音楽ホールといった文化的な施設が少ないと思われるので再開発によってこれらの施設が名古屋にも増えることを期待したいと思います。


関連記事 「栄の今後…

国有無番地とは

以前、私が勤めていた勤務先の住所が「○○町国有無番地」となっていました。
その当時はまだ不動産の知識もなく、違和感も感じていませんでしたが、
ふとこの住所を思い出し、どういった場合に「国有無番地」になるのかを調べてみました。

まず、無番地とは、言葉から読み取れるように、「地番が無い」土地のことを指します。
ほかの呼び方に「番地外」、「無地番地」があります。

下記のような土地が「地番が無い」状態にありそうです。
・無番地のまま国有財産台帳に登録されている土地
・もともと国有地だった土地
・埋め立て地のようにまだ土地として認定されていない土地
・里道、水路敷などの公図上で国有地であることが明らかな土地


また、調べてみると、上記の例以外にも「無番地」の場所は多く存在するようです。
例えば、東京にある青ヶ島村は、村全域が「東京都青ヶ島村無番地」となっており、
地番は振られていません。
地番が付いていない土地で、取引の際にどのように場所を特定するのか気になり、
取引事例を調べてみましたが、取引事例がなく、調べることはできませんでした。
無番地の理由はネット上で様々出ていますが、平地が少なく、土地の線引きが
難しいため、全村域が無番地扱いとなっているとのことです。
また、理由は分かりませんでしたが、四街道市の市役所も無番地となっており、
様々な理由や歴史で無番地となっているようです。

「無番地」で検索されると、様々な場所が出てきますので、ご興味ございましたら
ぜひ検索してみてください。

栄の今後…

 ゴールデンウィークに福岡の天神を訪れる機会がありました。天神といえば、九州一の繁華街で複数の百貨店や数多くのファッションビルなどが集積し、西鉄や高速バスのターミナルも存していることから九州中から広域的に集客しています。天神を歩いたのは久しぶりだったのですが、ゴールデンウィークという要因はあるにせよ、歩いている人の数は名古屋の栄よりも多いように思われ、商業施設の集積度、洗練度ともに栄を凌いでいるように感じられました。

 翌週末、用事があったため栄を歩いたのですが、やはり天神と比べると賑わいが劣るというか、繁華街としての勢いがないような気がしました。気になったので今年1月1日時点の地価公示価格を確認してみたところ、両地区の最高価格地点では「天神コア」が1㎡あたり785万円、「名古屋栄三越」が同750万円と地価の面からは天神が栄を上回っているということがわかりました。

 再開発が進み東京のどこかのターミナルと見間違うばかりとなった名駅と比べ、栄は街並みが変わるような大規模な再開発は行われておらず、街の雰囲気は20年前とあまり変わっていないような気がします。では、栄はこのまま衰退していってしまうのでしょうか?

 実は栄でも2027年のリニア中央新幹線の開業を視野に水面下ではいくつかの再開発の構想があるようです。主なものは以下のとおりです。

◇ 中日ビルの建て替え計画
  ・ 2019年3月末に閉館、2020年代半ばをメドに建て替える予定。

 ◇丸栄の再開発構想
  ・ 丸栄の親会社である興和が現在の丸栄百貨店と広小路通を挟んで隣接する栄町ビルを一体で再開発しツインタワーを建設する構想があるが、具体的な計画の内容、時期等は未定。

 ◇日本生命栄町ビル
  ・ 広小路栄交差点の北西側にあった1階にティファニーが入っていたビル。現在は解体済み。具体的な再開発の内容について現時点では日本生命からの発表はない。



 このほか、名古屋市が「栄地区グランドビジョン-さかえ、魅力向上方針-」として栄地区を魅力あるまちへと再生し、持続的に発展させる基本方針を策定、特に栄のシンボルである久屋大通の再生に向けた施策を進めようとしています。

 個人的には、久屋大通周辺は名駅にはない、栄ならではの回遊性を象徴する場所ですので整備を進めることは大いに結構だと思うのですが、隣接する大須エリアとの連携強化という面も打ち出すべきだと考えています。現在は、広幅員の若宮大通により分断されている両地区ですが、アクセスを向上させ一体感を出せば、外国人観光客からも面白い場所だと認知されることによりインバウンドの魅力向上にも資するのではないでしょうか。

 名駅では名古屋鉄道が主体となり2020年以降、高さ160メートル~180メートル、南北約400メートルにも及ぶ再開発の計画を打ち出しました。栄でこれ以上にインパクトのある計画を打ち出すことはなかなか難しいでしょうが、名駅にはない栄ならではの魅力ある再開発が行われることにより賑わいがより向上することを願いたいと思います。

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