不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

賃料

最近多い相談

最近多い相談というか、最近の相談のほぼ全ては賃料減額についてです。
そして、その相談者のほぼ全てが貸主様です。

賃料減額の相談というと店舗を想像されると思いますが微妙に違います。
では、何かというと土地の賃料(地代)減額の相談です。
一言で土地の賃料といっても様々です。
店舗敷地、店舗の駐車場、コインパーク、事業所の専用駐車場 等。
相談を聞いていますと、借主様の厳しい状況が目に浮かぶものもあれば、
申出があった減額の程度が如何にも大きいと感じるものもあります。

当該地について、借入金が無い相談者からは、
“減額に応じた方が良いか? 応じる場合、どの程度減額すれば良いのか?”
について意見を求められることが多いです。
一方、借入金がある相談者からは、
“減額に応じる必要があるか? 応じた場合、国から何らかの支援が受けられるか?”
について意見を求められることが多いです。
両者からの相談は、似て非なるものであると考えています。
借主様に様々な事情があるように、貸主様にも様々な事情があるのです。
そして、貸主様にとっても、借主様と同様に苦しい時期なのです。

現在、貸主様への新たな支援策が検討されていますが、私が把握している限り、
現時点の支援策は、下記の3つだと思います。
(勉強不足の場合は、申し訳ありません。)

① 税・社会保険料の納税猶予
② 固定資産税・都市計画税の減免
  ※2020年2~10月の任意の3ヶ月の売上が30%以上50%未満減少した場合
    → 2021年度の固定資産税・都市計画税を1/2に軽減  
   2020年2~10月の任意の3ヶ月の売上が50%以上減少した場合
    → 2021年度の固定資産税・都市計画税を全額免除
③ 免除による損害の額の損金算入

相談者が期待している国からの支援は、直接的な負担減(税金でいえば、
所得控除ではなく、税額控除のようなもの)であり、それに該当するのは、
②のみだと思われます。
しかし、②についても、その売上は、それぞれの不動産毎ではなく、
事業全体で判断されるものと解釈できます。
もし、前記の解釈が正しい場合、複数の不動産を賃貸されている方は、
全ての不動産の賃料について、減額を実施しないと②の要件を充たすことが
できない恐れがあります。
よって、“25%ではなく30%減額した方が良い”などといった意見は言えないのです。
正直なところ、非常に悩ましいです。

※緊急事態宣言延長に伴い、弊社のテレワークも延長となりました。

知っておきたい「賃料」に関する基礎知識③

これまで2回にわたって賃料について解説してきましたが、今回は「新規賃料」と「継続賃料」の違いについて述べたいと思います。

<新規賃料とは>
 「新規賃料」とは自由な競争が行われる市場において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料をいいます。すなわち、現在から将来にわたって通用する賃料になりますので賃貸市場というマーケットに参加する誰にでも妥当する賃料ということがいえます。


<継続賃料とは>
 「継続賃料」とは賃貸借の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を表示する賃料をいいます。すなわち、賃貸借契約にかかる賃料を改定する場合のものであり、既にある賃貸借契約を前提に特定の当事者間においてのみ成立する賃料をいいます。



 賃料の交渉などで「今借りたらこんなに安いんだ(高いんだ)」ということをいわれることがありますが、新規賃料と継続賃料を混同して議論している典型的な例といえるでしょう継続賃料の交渉においては、契約当事者間における過去からの経緯等も踏まえることが必要になるのです

知っておきたい「賃料」に関する基礎知識②

前回から、賃料形成のメカニズムをご説明していますが、今回は、「賃料の特性」について触れてみたいと思います。

“賃料の遅行性”とは?

賃料の特性として“賃料の遅行性”という性質がまず挙げられます。これは、地価や景気の変動に対して賃料は遅れて変動するという性質をいい、“賃料の粘着性”とか“賃料の保守性”ともいわれます。

それでは、なぜ“賃料の遅行性”が生じるのでしょう。前回、「元本と果実の相関関係」についてご説明しましたが、元本たる不動産価格は、バブル時の地価推移をみてもわかるように、将来の価値予測をも織り込んで大きく変動します。一方、賃料は、貸主と借主が合意して一旦賃貸借契約を結ぶと一定期間は賃料の改定が行われないため、元本価値の変動に対して遅れがちになるのです。

また、別の賃料の特性として、不動産の用途により賃料水準の変動幅(賃料の弾力性)が異なるという性質を有しています。例えば、オフィスビルは景気への感応度が高く、好況時と不況時では賃料水準が比較的大きく変動しますが、賃貸住宅はオフィスビルほど景気への感応度は高くはありません。

不動産投資を検討されている方は、こういった賃料の特性を理解されておかれることが必要であると思われます。

次回は、「新規賃料」と「継続賃料」の違いについてご説明したいと思います。

知っておきたい「賃料」に関する基礎知識①

 賃貸住宅や事務所を借りる際に支払っている「家賃」、建物を建てるために土地を借りる際に支払う「地代」。これらを一括りに「賃料」といいますが、「賃料」はどのようなメカニズムで決定されるのでしょうか?今後、数回に分けて賃料形成のメカニズムを解説していきたいと思います。

<そもそも「賃料」ってナニ?>

 「賃料」というものを捉えるにあたって、まず想起していただきたいのは、一本のリンゴの木です。一本のリンゴの木という“元手”(=元本)があって、リンゴの実という“果実”を生み出すのです。不動産の場合も同様に、土地や建物といった元本となる資産があって、「賃料」という“果実”が生み出されるのです。ちなみに法律上、リンゴの木からなるリンゴの実などを『天然果実』といい、土地や建物を貸した場合の賃料を『法定果実』といいます。
このように“元本”があって、“果実”が得られることを不動産評価の考え方では「元本と果実の相関関係」といいます。

 少し専門的になりますが、不動産鑑定士が不動産を評価する際に準拠する『不動産鑑定評価基準』の該当箇所をみてみましょう。

 「不動産の経済価値は、一般に、交換の対価である価格として表示されるとともに、その用益の対価である  賃料として表示される。そして、この価格と賃料との間には、いわゆる元本と果実との間に認められる相関関係を認めることができる。」(不動産鑑定評価基準総論第1章2)
 
 言い換えると、「価格」とは自分のモノにするために支払わなければいけない金額、すなわち、“所有権の対価”といえる一方、「賃料」とはそのモノを所有せずに、一時的に借用するために支払わなければならない金額、すなわち、“利用の対価”と捉えることができます。
 
 したがって、賃料がいくらかということを知るためには、そのもととなる不動産自体の価値がいかほどのものであるかを知る必要があるのです。
 
 次回は、「賃料の特性」について解説したいと思います。
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