不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

コンパクトシティ

不動産売買時、津波災害警戒区域の説明が必要になりました!!

愛知県において、津波警戒区域が7月30日に指定されます。

津波警戒区域は、最大クラスの津波が発生した場合に住民等の生命又は身体に危害が生ずる恐れがある区域で、津波による人的被害を防止することを目的として指定されるものです。

平成23年12月に、宅地建物取引業法施行規則が改正され、取引対象となる物件について、津波警戒区域内にあるときは、その旨を取引の相手方に重要事項として説明することが必要になっていましたが、愛知県では、今まで津波警戒区域が指定されていませんでしたので、「現在指定されている地域はありません。将来にわたって指定されないわけではありません。」として説明をしてきました。

しかし、今回、津波警戒区域が指定されることで、今後は、不動産を取引する際に、取引対象となる物件について、津波警戒区域内にあるのか否かを相手方へ説明することになります。

津波警戒区域は、愛知県のホームページで確認することができ、調べたい地域の地図上に、10m×10mのメッシュごとに、基準水位が表示されています。

基準水位とは、津波浸水想定で定める浸水の深さに、建築物等への衝突による津波の水位上昇を考慮して認められる値を加えて定める水位です。

実際に、基準水位が表示されている津波災害警戒区域の地図を見たときは、詳細に表示されており、最大クラスの津波が発生した場合は、「こんなところに、こんなに高い津波がくるのか」と、衝撃を受けました。

話は変わりますが、名古屋市では、なごや集約連携型まちづくりプランを作成し、都市機能や居住を誘導する範囲(都市機能誘導区域、居住誘導区域)や誘導する施設などを定め、鉄道駅周辺(拠点や駅そば)に必要な拠点施設の立地誘導や地域の状況に応じた居住の誘導をすすめています。

昨年6月より、都市機能誘導区域外または居住誘導区域外において、誘導施設や一定規模以上の住宅の開発・建築等行為を行おうとする際には、市への届出が必要となりました。

昨今、人口減少により、都市機能を持続するために、コンパクトシティがうたわれていますが、このように、津波災害警戒区域の指定や、名古屋集約連携型まちづくりプランの制定などにより、間接的にコンパクトシティ化が進められているのではないかと感じています。

コンパクトシティーについて思うこと

ここ数週間、日本経済新聞でコンパクトシティーに関する記事が連続して掲載されましたので、コンパクトシティを取り上げたいと思います。

コンパクトシティは、平成26年に施行された改正都市再生特別法により、国が自治体へ立地適正化計画の策定を促したことにより、その形成が始まりました。

立地適正化計画では、住まいを集約する「居住誘導区域」、店舗や病院、学校などを集約する「都市機能誘導区域」が設定されます。地域ごとに、居住や都市機能を誘導することで、都市密度を高めることにより、人口が減少しても、水道やごみ収集などの(一人あたりの)行政費用を減らすことにより、都市機能を維持することが目的です。

私が不動産業に従事する名古屋市でも、今年の4月より、都市計画を調べるサイトで、調査する不動産が所在する地域が、居住誘導区域内か区域外か、都市機能誘導区域内か区域外かが表示されるようになりました。

今まで維持してきた水道やごみ収集などのインフラも、人口が減少していけば維持できなくなる恐れがありますので、都市をコンパクトにすることが必要なことは理解できるのですが、現状ではコンパクト化とは異なる現象も起きています。それは、近年の地価高騰により、地価の安い郊外での開発が止まらないからです。

厳格にコンパクトシティを進めると、住むところが限定されることにより、住宅の供給数が少なくなるため、需要と供給のバランスにより、地価は上昇します。地価が上昇すれば、地価の安いところに住まいを探す人がいるのは理解できます。しかし、数年後には、確実に人口が減少します。住まいが広い地域で点在すればインフラが維持できなくなるなど弊害がでます。

コンパクトシティを進めるためには、新築主義を見直し、中古住宅の流通を進めるなど、既存のストックを活かした仕組みづくりが大切だと感じています。

コンパクトシティ政策と住宅着工数

国の政策でコンパクトシティ化が進められていることは皆さんご存知かと思います。

国土交通省のHPにて(コンパクトシティ化のための)立地適正化計画作成の取組状況が公表されており( http://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/toshi_city_plan_fr_000051.html )、
立地適正化計画の作成について具体的な取組を行っている都市は309団体、各都市における立地適正化計画作成の主な取り組みを行っているのは103団体となります。

コンパクトシティとは、人口の急激な減少と高齢化を背景として、
高齢者や子育て世代にとって、安心できる健康で快適な生活環境を実現することを目的に、
医療・福祉施設、商業施設や住居等をまとまって立地させることなどをいいます。

今後人口が減っていくことは周知されており、既にその影響が出ています。
国は今後のことを考えて、コンパクトシティなどの対応を取っていると思います。

しかしながら、平成29年1月31日に国土交通省は「建築着工統計調査報告」にて、
建築着工数について、持家、貸家及び分譲住宅が増加し、全体の住宅着工数が増加となったと公表しました。特に目立つのが、貸家の建築着工数です。なんと前年比10.5%の増加だそうです。貸家の増加は5年連続で、5年前と比べると31.4%増加しています。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020102.do?_toGL08020102_&tclassID=000001011994&cycleCode=7&requestSender=search

人口減少に対応した政策が取られているのに、人口増加のような貸家の建設ラッシュ。
住宅需要があるところに建設が集中しているのであればよいのですが、住宅需要がなさそうな交通の利便が悪いところでも、アパートなどが建設されているのが気にかかります。
貸家の建設ラッシュには、相続税率が引き上げられたことにより、相続対策として建築された方など、いろいろな要因はあるかとは思いますが、空家の増加も公表されており、貸家を建設された方の今後の貸家経営が成り立つのか心配になります。

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