先日、福井県に出張する機会がありました。現地調査のため車で走り回っていると、工事中の北陸新幹線の高架橋があちこちで目に入り、工事が佳境に入っていることを伺わせました。
北陸新幹線は、全国に5つある整備新幹線の一つで、東京と上信越・北陸地方を結び、将来は大阪まで延伸されることになっています。1998年2月に開催された長野オリンピックに合わせる形で1997年10月に高崎駅から長野駅まで開通(東京駅から高崎駅までは上越新幹線と共用)、当時は「長野新幹線」と呼ばれていました。その後、2015年3月に長野駅から金沢駅間が開通。現在は、正式な「北陸新幹線」という名称が用いられています。
現在は金沢駅止まりの北陸新幹線ですが、金沢駅から敦賀駅までの延伸工事が進められています。2012年に着工され、2023年春に開業する予定でしたが、工事の遅れにより2024年春に開業予定です。
この北陸新幹線延伸部の停車駅ですが、石川県内に『小松駅』『加賀温泉駅』『芦原温泉駅』が、福井県内に『福井駅』『越前たけふ駅』『敦賀駅』が設けられます。現在の北陸本線の特急停車駅とほぼ同様ですが、『越前たけふ駅』のみ既存の鉄道路線と接続しない形となります。
その『越前たけふ』駅の建設状況です。田んぼの中にポツンと新しい駅舎が姿を現しています。
ただ、北陸自動車道武生インターチェンジにほど近く、国道8号線と駅をつなぐアクセス道路も整備予定です。
敦賀駅です。北陸新幹線が新大阪まで全線開通するのは2046年の予定なので、当面は敦賀駅が終着駅となります。
北陸新幹線の敦賀開業により並行する在来線(北陸本線)は現在のJR西日本から地元自治体などが出資する第三セクターに運営主体が移管されます。それにより、現在は大阪、京都や名古屋から金沢まで運行されている特急「サンダーバード」や「しらさぎ」が敦賀までしか運行されなくなります。
地元福井県は、北陸新幹線の敦賀延伸後もこれら在来線特急列車の福井駅への乗り入れをJR西日本に要望していましたが、同社は新幹線の乗客減への懸念や運行コストの増大などの理由によりこれを拒否、福井県は要望を取り下げています。このため、福井から大阪や名古屋に向かう場合、敦賀まで新幹線に乗るのは時間短縮効果があまりないことや料金の問題もあり、直通特急がなくなるということが大きなデメリットにつながります。このことは福井市と敦賀市の中間に位置する鯖江市や越前市も同じことがいえます。
北陸三県といわれる、富山県・石川県・福井県ですが、文化的・社会的な経緯や地理的位置から関西圏や中京圏との結びつきが強いといわれてきました。それが2015年の北陸新幹線の金沢開業で石川県や富山県では状況が変わり首都圏との結びつきが強まりつつあります。
福井県は、大きく嶺北(福井市や越前市)と嶺南(敦賀市から若狭湾沿岸の小浜市にかけて)に分かれますが、嶺南における電力会社は北陸電力ではなく関西電力であるなどほぼ近畿地方といってよいほど関西圏との結びつきが強くなっていますが、2024年の北陸新幹線の敦賀延伸により果たしてどうなっていくのでしょうか。