不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

リニア中央新幹線

どうなる!? リニア中央新幹線

リニア中央新幹線の名古屋駅が徐々に姿を現してきています―――。
20210611001
上記の写真は、弊社が入居するJPタワー名古屋からJR名古屋駅の西側を撮影したものです。リニア中央新幹線名古屋駅は既設の在来線や新幹線と十字に交差する形で地下に設置されます。

赤で示した部分がリニア名古屋駅の西側部分になります。用地買収と建物の解体がかなり進んだため、なんとなくですが駅のような形状になりつつあるのがおわかりいただけるのではないでしょうか。

青で囲っているのは10年ほど前に建てられた河合塾の校舎ですが、この建物も解体準備に入っており、いずれ更地になる予定です。

用地買収が全て完了し、全体が更地になった後、開削工法といって、地下30メートルの深さまで地上から掘り進められ、リニア新幹線のホームが設置される予定です。

20210611002
この写真は、名古屋法務局や中部運輸局などが入居する名古屋合同庁舎1号館から撮影したものです。巨大な穴が掘られていますが、この穴から『シールドマシン』という機械を地中に下ろし、トンネルを掘り進めます。穴の直径は約40メートル、深さは約90メートルですので大きめのビルがすっぽり収まってしまう大きさです。

この穴から掘り進められるトンネルは『第一中京圏トンネル』といい、名古屋駅から岐阜県可児市まで全長34.2キロという長大なものです。

なお、この穴ですが、リニア新幹線開業後は万が一の場合の非常口として利用されることになっており、正式名称を『名城非常口』といいます。

このように身近なところでもリニア中央新幹線の工事を見かけるようになり、2027年の開業を目指して着々と工事が進められているように思われますが、静岡県の大井川の減水問題がこじれており、2027年の予定通りの開業はほぼ絶望的な状況となっています。

その静岡県ですが、6月20日の投票日に向けて、目下知事選の最中です。立候補している現職と新人、いずれも減水問題に対して厳しい姿勢のようですので、どちらの候補が当選しても、問題が一気に解決することにはならなさそうです。

コロナ禍で出張が減り、リモートでの面談等が増えたことで、リニア中央新幹線の意義を問う声も大きくなっています。また、名古屋という街からすると、リニア開業に伴い首都圏にヒト・モノ・カネが流出するストロー現象の発生も懸念されるところです。

個人的には、開業の遅れを奇貨として、コロナ禍によって変わってしまった価値観を前提として、名古屋都市圏としてのあり方を官民挙げて模索すべきと考えますが、みなさまはどのように思われますか。



 

丸の内が熱い!?

 丸の内といっても東京ではなく名古屋の話です。

 名古屋市中区丸の内。名古屋城の南方、久屋大通、堀川、桜通、外堀通で囲まれた地区です。古くからビジネス街として発展してきましたが、最近では交通利便性の高さや学区の人気に注目が集まりマンション建設も盛んに行われています。そんな丸の内地区において気になる動きがいくつかありますのでご紹介したいと思います。

① 産業貿易館本館がリニア中央新幹線の変電所用地に!

 3月10日、愛知県が丸の内3丁目にある産業貿易館本館を約36億円でJR東海に売却することを決定したというニュースが報じられました。産業貿易館は1963年に開館、商談会や物産展などに用いられてきましたが代替施設となるウインクあいちが開業したことや耐震性の問題から現在は閉鎖されています。鉄道関連の施設に用いるという公益性の観点から入札ではなく、不動産鑑定業者2社の鑑定評価額の平均に基づく随意契約により売却を行うとのことです。


17031701
産業貿易館本館は外堀通と本町通が交差する「本町橋」の交差点の南東側に立地しています。外堀通の上は名古屋高速都心環状線の高架となっています。JR東海は建物を取り壊した上でリニア中央新幹線の『名城変電施設』を建設します



51008
 今回売却される敷地面積は約5,800平方メートルとのことなので、1平方メートルあたりの単価は約62万円(1坪あたり約205万円)です。国税庁が公表している平成28年度の路線価をみると1平方メートルあたり50万円(南北の本町通沿い。東西の外堀通沿いは38万円。)であり、路線価を地価公示ベースの時価の水準に換算するために0.8で割り戻すと62.5万円となります。三方路であることや規模の稀少性をどの程度織り込んだ金額なのかは分かりませんが、まあこんなもんかな、という感じはします。


17031702

 産業貿易館の北側は外堀通と公園を介して名古屋城の外堀が広がっており、都心では貴重なヒメボタルの生息地となっています。このため上空を走る名古屋高速都心環状線の照明は一般的なポール式の街路灯ではなくパイプ照明といって道路とパラレルになった帯状の照明が採用されています。変電所は不動産の世界では『嫌悪施設』として扱われますので周辺環境や景観により配慮した計画が求められます。


17031703

 産業貿易館本館と本町通を挟んだ場所に建つ産業貿易館西館。こちらも現在は閉鎖されており愛知県が取り壊す予定ですが、跡地の利用方法は未定とのことです。敷地面積約2,300㎡、容積率600%というスペックを有する土地であり、30階建程度のタワーマンションの建設が十分可能であると考えられます。仮に入札での売却となればマンションデベロッパーが本館より高値で入札するかもしれませんただし、変電所に近接した土地となることから、その分、マイナスの影響は考えなければなりません。


17031705

 丸の内地区の北側には三の丸地区の官庁街が広がっています。名古屋城の南側を走る出来町通沿い、名古屋法務局などが入る合同庁舎の西隣ではリニア中央新幹線の『名城非常口』の工事が既に始まっています。地盤が軟弱でリニア中央新幹線の工事の中でも最も難しい工事の一つになるであろうといわれている名古屋駅地下での工事も昨年12月に着工されており、名古屋中心部で働く者にとってはリニア中央新幹線の工事というものがいろいろな意味でより具体的に生活と密着したものになっていく気がしています。


② 日本郵政の建物が解体。広大な更地が出現!

17031704
 ①でご紹介した産業貿易館本館と七間町通を挟んだ土地には日本郵政グループの建物が建っていましたが、現在解体が進み、ほぼ更地の状態に近づいています。この土地についてはまだ情報もなく、どのように活用されるかは全く不明です。登記情報を調べていないので詳細は不明ですが、地図ソフトによる概測では面積は6,700平方メートル程度です。東側には名古屋で最も評判の高い小学校の一つとされる名城小学校があり大規模マンションには最適の土地です。隣接することになる変電所についても建物配置の工夫により居住部分と引き離すことにより産業貿易館西館の土地よりは影響を少なくすることができると思われます。個人的には、丸の内地区ではマンションの増加に比べて食料品などの最寄り品店舗が不足していることから、スーパーマーケットなどの商業施設を併設したタワーマンションが建設されることを期待しています。日本郵政は東京・名古屋・福岡(博多)で大型ビル(JPタワー)を建設するなど不動産業にも進出しており、もしかしたらどこかのマンションデベロッパーと組んで事業主体としてこの土地の再開発に取り組むのかもしれません果たしてどうなっていくのでしょうか。



※写真の撮影日はいずれも3月17日

名鉄三河線の複線化

 2027年のリニア中央新幹線 品川-名古屋間の開業を見据え、名古屋駅と豊田市中心部の鉄道での所要時間を短縮するため、名鉄三河線の複線化などの整備に要する費用について愛知県が公費を用いて支援するという記事が掲載されました。

 現在、名古屋駅から豊田市中心部への鉄道のルートは以下の3ルートがあります。

 ① 名鉄名古屋駅から名鉄名古屋本線経由、知立駅で乗り換えて名鉄三河線を経由するルート
 ② 地下鉄東山線で伏見駅まで行き、地下鉄鶴舞線に乗り換え、直接乗り入れる名鉄豊田線を経由するルート
 ③ JR中央線で勝川駅まで行き、愛知環状鉄道を経由するルート

 ①のルートは知立駅までは本数も多いのですが、知立駅からの名鉄三河線は15分に1本の運行間隔かつ単線で各駅停車のみの運行となっており1時間程度の時間を要します。②のルートについては、伏見駅で乗り換える必要があるとともに、各駅停車で運行せざるを得ない地下鉄線を経由するため、①と同じく1時間程度を要します。③のルートについては、遠回りで一番時間を要するため利用する人はあまりいないのではないでしょうか。
 
 東京、大阪、名古屋の三大都市圏について、一番手都市と二番手都市の鉄道でのアクセスの利便性を考えてみましょう。まず、東京圏についてみると東京・横浜間は、JR東海道線利用で約25分、東海道線のほかにも横須賀線や京浜東北線、ルートは違いますが渋谷からは東急東横線を利用できます。大阪圏でも、大阪から神戸の中心である三ノ宮へはJRの新快速で20分、阪急や阪神も頻繁に特急を走らせています。一方、名古屋圏では、上記のとおり利便性のよいルートは整備されていないのが実情です。

 名古屋と豊田を結ぶ鉄道路線が、一部が未だに単線というのもクルマ社会の名古屋らしいといえば名古屋らしいのですが、せっかくリニア新幹線が開通し、東京と名古屋が40分で結ばれることになっても、周辺の拠点都市へのアクセスが悪ければ波及効果が限定されてしまいます。

 仮に整備が行われ複線化が完了すれば、名鉄名古屋駅からの直通特急が運行され、豊田市まで40分で結ばれる予定とのことです。財政的に豊かな豊田市は、財政的な負担をする準備がある一方、連接点となる知立駅のある知立市は、財政難により駅の高架化事業が捗々しくないという話も聞きます。関係者間の調整が上手いこと図られ、なるべく早期にアクセスの改善が図られることを願ってやみません。
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ