不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

人口

人口集中は一段と進むか!?

総務省が、1月29日に住民基本台帳人口活動報告(平成29年度)の結果を公表しました。

47都道府県の中で、転入増加となっているのは、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、福岡県、愛知県大阪府の1都1府5県だけです。その他40道府県については、転出超過となっています。転出超過数が最も多いのは福島県、以下兵庫県、北海道、新潟県、青森県となります。詳細は以下の通りです。

転入増加となっている1都1府5県の転入増加数
東京都  75,498人
千葉県  16,203人
埼玉県  14,923人
神奈川県 13,155人
福岡県   6,388人
愛知県   4,839人
大阪府   2,961人

転出超過となっているうち上位1道4県の転出超過数
福島県   8,395人
兵庫県   6,657人
北海道   6,569人
新潟県   6,566人
青森県   6,075人

 先日、とある地域で店舗を運営されている方と、この人口移動の件で話をしました。とある地域は、観光客が多い地域ではありますが、地域に大学がなく、子供たちのほとんどは、高校卒業とともに地方へ進学するため、若者が地元に残ることはほとんどないそうです。そのため、アルバイトなどの働き手が足りなく困っているそうです。その話を聞いていたため、大学や企業が多く、学校や職を探す若者などが集まりやすい環境である東京圏に人口が集中するのだと感じています。今後も人口減少が続きますので、進学先が多いことや、働きやすい環境が整っているなどの特定の地域に人口が集中する現象は今後も続くのではないかと思います。

 なお、人口移動報告で、総務省は、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)、大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)とを比較して報告していますが、そのような大きな単位ではなく都道府県単位や、市町村単位(もう少し細かく)で比較して報告しなければ、実態がつかめないのではないかと思います。東京圏の1都3県が人口移動全体の1位から4位を独占しているのに対し、名古屋圏では、愛知県が6位なのに対し、三重県が35位、岐阜県が41位、大阪圏では、大阪府が7位なのに対し、京都府が18位、奈良県が30位、兵庫県が46位となっており、それぞれの地域で格差があります。

駐車場は、1住戸に1台必要なくなる!?

 マンションの駐車場問題など、乗用車を所有する世帯が減少した場合の影響について、当ブログで記事にしてきましたが、実際に乗用車を所有する世帯がどれぐらい減っているのか気になり、調べたところ、興味ある統計がありましたのでブログの題材としました。

 興味ある統計は、一般財団法人 自動車検査登録情報協会が平成29年8月15日に公表した”自家用乗用車(登録車と軽自動車)の世帯当たりの普及台数”です。

 この統計を見ると、世帯当たりの時価乗用車の普及台数は、昭和51年に0.505台と初めて0.5台を超えて2世帯に1台となり、平成8年には1.000台と1世帯に1台の時代になり、自家乗用車が普及してきた歴史がわかります。過去最高の普及率は、平成18年の1.112台です。しかし、それ以後の普及率は、前年より増える年もありますが、全体を眺めると徐々に減っています。平成29年3月末日時点は、1.062台です。

 世帯当たりの自家乗用車の普及率は、地域によって異なり、高く維持されている地域もありますが、10年前である平成19年の統計に比べ、一部の地域を除いて、減少傾向にあります。()は平成19年の普及率

 普及率上位
 ①福井県 1.749台(1.766台)
 ②富山県 1.702台(1.734台)
 ③山形県 1.680台(1.659台)
 ④群馬県 1.643台(1.695台)
 ⑤栃木県 1.619台(1.653台)

 普及率下位
 ①東京都   0.445台(0.521台)
 ②大阪府   0.651台(0.719台)
 ③神奈川県 0.720台(0.801台)
 ④京都府  0.827台(0.912台)
 ⑤兵庫県  0.916台(0.966台)

 平成19年対比の普及率は、福井県99.0%、東京都85.4%と、普及率が高い地域は、あまり減っていない印象があるものの、普及率が低い地域は、徐々に低下してきている傾向が見て取れます。

 私の住んでいる愛知県は、平成29年1.283台、平成19年1.370台となっています。平成19年対比は93.6%でした。トヨタ自動車のおひざもとであり、近所の方も自家乗用車を所有されている方も多くいますので、もう少し普及率が高いのかなと思っていましたし、10年前に比べて減少しているのにも驚きました。

 自家乗用車は生活の必需品と思っていましたが、交通手段の選択肢が多くなったことや、カーシェアリングなど、新しい移動手段が誕生していることが、普及率の低下に繋がっているのではないかと感じています。

 最近、名古屋の都心で分譲されるマンションは、駐車場が1住戸に1台分設置されていないことは当たり前になってきました。また、戸建て住宅でも、駐車スペース1台のものが分譲され売れています。人口減少や、高齢化が急速に進むことが予想されていますので、自家乗用車を利用しない世帯が今後も増えることが予想されます。分譲マンションであれば、空き駐車場ができた場合を想定しておくなど、早めに対策を打ちたいものです。

コンパクトシティ政策と住宅着工数

国の政策でコンパクトシティ化が進められていることは皆さんご存知かと思います。

国土交通省のHPにて(コンパクトシティ化のための)立地適正化計画作成の取組状況が公表されており( http://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/toshi_city_plan_fr_000051.html )、
立地適正化計画の作成について具体的な取組を行っている都市は309団体、各都市における立地適正化計画作成の主な取り組みを行っているのは103団体となります。

コンパクトシティとは、人口の急激な減少と高齢化を背景として、
高齢者や子育て世代にとって、安心できる健康で快適な生活環境を実現することを目的に、
医療・福祉施設、商業施設や住居等をまとまって立地させることなどをいいます。

今後人口が減っていくことは周知されており、既にその影響が出ています。
国は今後のことを考えて、コンパクトシティなどの対応を取っていると思います。

しかしながら、平成29年1月31日に国土交通省は「建築着工統計調査報告」にて、
建築着工数について、持家、貸家及び分譲住宅が増加し、全体の住宅着工数が増加となったと公表しました。特に目立つのが、貸家の建築着工数です。なんと前年比10.5%の増加だそうです。貸家の増加は5年連続で、5年前と比べると31.4%増加しています。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020102.do?_toGL08020102_&tclassID=000001011994&cycleCode=7&requestSender=search

人口減少に対応した政策が取られているのに、人口増加のような貸家の建設ラッシュ。
住宅需要があるところに建設が集中しているのであればよいのですが、住宅需要がなさそうな交通の利便が悪いところでも、アパートなどが建設されているのが気にかかります。
貸家の建設ラッシュには、相続税率が引き上げられたことにより、相続対策として建築された方など、いろいろな要因はあるかとは思いますが、空家の増加も公表されており、貸家を建設された方の今後の貸家経営が成り立つのか心配になります。

人口が減少し、空家が増えれば不動産価格は下落する!?

2020年に開催される東京オリンピックや、2027年開業予定のリニア中央新幹線などは、
経済を活性化させる可能性があり、不動産価格に好影響を与えるだろうと期待されています。

しかし、不動産については、明るい話題ばかりではありません。
人口減少や増え続ける空家問題などがその代表かと思います。

人口減少や増え続ける空家については、
統計結果などが報道で公表されますが、
その内容を確認すると、今後の不動産価格について考えさせられます。

人口動態で私が参考にしているのは、国立社会保障・人口問題研究所のデータです。
地域ごとに数値化されているので、身近な地域の人口動態を感じ取ることができます。
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/3kekka/Municipalities.asp

上記サイトで、当社が主に営業している名古屋市内の30歳代(男女30~34歳の人口)のデータを見ますと、
2015年151903人に対し、2025年になると121942人に減少します。減少割合は20%。

30歳代は住宅の一次取得層として考えられていますが、住宅取得層が減れば、
現在のペースで戸建てやマンションを建てても、売れつづけることは難しくなりそうです。
また、それにともない、空家増加にもつながるかと思います。

住宅が売れなければ、不動産の価格にも影響が出そうです。

※すべての地域で人口が20%減少するわけではありません。
  人口動態は地域によって異なります。詳しくは、国立社会保障・人口問題研究所のHPにて。




アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ