国税庁は7月1日、令和元年分の路線価を発表しました。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことであり、相続税・贈与税の税額を算定する際の基準になるものです。評価の基準日は国土交通省が発表する地価公示と同じ毎年1月1日であり、地価公示価格の水準の80%で評価されています。

 さて、今回発表された路線価についての雑感を何点か記したいと思います。


<最高価格地点はいつも通り>
 毎年の路線価発表時にニュースなどで取り上げられることも多い全国での最高価格地点ですが、今年も東京・銀座5丁目の「鳩居堂前」が全国トップとなりました。この地点が全国トップになるのは34年連続で、今回の1㎡あたりの価格は4,560万円でした。1990年代初めのバブル経済絶頂期を大幅に上回る水準で推移していますが、年間の上昇率は昨年の9.9%から2.9%と鈍化しています。それでも、この最高路線価地を100とした場合の指数でみると、2位の大阪(北区 御堂筋・1㎡あたり1,600万円)で28.3、最下位の鳥取(栄町 若桜街道通り・1㎡あたり10.5万円)に至っては0.2でしかなく、東京の突出ぶりが相変わらず際立つ結果となっています。


<北海道・倶知安は上昇率だけではなく、価格水準もすごい!>
 今回、路線価の上昇が大きかった地点として北海道・倶知安町の「道道ニセコ高原比羅夫線」が挙げられていました。1年間での上昇率は50%とのことでしたが、もはや倶知安・ニセコエリアにおいては、それくらいの上昇率は驚くに値しません。それよりも驚いたのは価格水準です。おそらくここだろうと思われる場所が、「比羅夫坂」といわれるスキー場に隣接する宿泊施設や飲食店などが見られる場所なのですが、今年の路線価がなんと1㎡あたり48万円でした。昨年は32万円でしたので、なるほど、50%の上昇となります。この1㎡あたり48万円という水準、各県庁所在地の最高路線価地点で比べると富山や大分(49万円)より少し安く、岐阜(46万円)や新潟(44万円)より高い水準です。率直に申し上げてかなり驚くべき水準です。
 
 当然、路線価は路線価なので実勢水準を表しているわけではありません。もしかしたら、実勢価格は倶知安の方が富山や大分といった県庁所在地より高い、といったケースもあるのかもしれません。なかなか興味深い調査結果だと思いました。