不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

取引

不動産取引時における埋蔵文化財の影響

埋蔵文化財とは、土地に埋蔵されている文化財(主に遺跡といわれている場所)のことをいいます。

埋蔵文化財の存在が知られている土地を「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいます。周知の埋蔵文化財包蔵地は全国で約46万カ所あり、毎年9千件程度の発掘調査が行われています。周知の埋蔵文化財包蔵地は、周囲に城や寺、古墳などがある場合に指定されていることが多いです。

さて、周知の埋蔵文化財包蔵地にある不動産を売買するときはひと手間かかります。

文化財保護法では、周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事などの開発事業を行う場合には、都道府県・政令指定都市等の教育委員会に事前の届出等(文化財保護法93・94条)をすることになっています。

土木工事等の開発事業の届出等があった場合、都道府県・政令指定都市等の教育委員会はその取り扱い方法を決めます。当方の事務所が所在する名古屋市では以下の4つの指示を受けることになります。
○発掘調査の実施(費用負担有。ただし個人が自宅を建てる場合は除く。)
○常時立会の実施(費用負担有)
○施工状況確認のための立会(費用負担無し)
○慎重工事(費用負担無し)

詳しくは、名古屋市のホームページで確認いただきたいのですが、工事の手続きに一定の期間が必要なことや、工事中に、遺構や遺物が確認された場合は、一時的に工事を中断し遺物の採集や写真撮影などを行なう必要があるなど、工事がスムーズに進まない可能性があります。

このように、周知の埋蔵文化財包蔵地で不動産の取引をする際は、引渡までの期間や費用などに注意が必要です。

東日本大震災より10年、不動産取引の現場での変化

3月11日で、東日本大震災より10年を迎えます。

東日本大震災では、未曽有の大津波が街や原発を襲うなど甚大な被害をもたらし、その後の人々の生活に大きな影響を及ぼしましたが、東日本大震災からの10年で、不動産取引業界ではどのような変化が起こったのか思い返してみました。

・津波災害警戒区域が各地で指定され、津波災害を受ける可能性や想定される津波の高さなどを知ることができるようになった。
・(東日本大震災だけの影響ではありませんが)自然災害について被災が想定される地域や被害想定を記したハザードマップの作成が各地で進み、以前に比べて、自然災害が起こった際の影響を予見できるエリアが拡充した。
・ハザードマップの情報を、不動産を購入する際の説明書類である「重要事項説明書」に記載して、買主へ説明することが義務化された。
・脱原発が掲げられ、太陽光や風力などの再生エネルギーが注目されるようになり、特に太陽光発電を設置する住宅などが増えたため、太陽光発電が設置されている不動産の取引が増え始めた。など

上記のとおりいろいろと変化してきなと感じるほか、この10年で自然災害の発生リスクが不動産価格に大きく影響を与えるようになったと感じています。

さて、次の10年で、現在と比べて不動産価格に大きく影響を及ぼす要因に変化はあるのでしょうか。人口減少の時代と言われていますので、鉄道の駅など生活施設との距離が今より大きく影響するようになるのかなと個人的には思っています。
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