名古屋市が市内中心部を回遊する新たな公共交通機関として、BRT(バス高速輸送システム)の導入を検討
しているというニュースが報じられました。


 BRTとは「バス・ラピッド・トランジット(Bus rapid transit)」の略称で、バスを専用道路や専用バスレーンを通すことにより、通常の路線バスより高速に運行し、定時性を確保しようとする交通システムをいいます。一方、LRTと呼ばれる交通システムもあります。LRTは「ライト・レール・トランジット(Light rail transit)」の略称で、いわば次世代の路面電車であり、低床式車両(LRV)の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性を確保した軌道系交通システムをいいます。

 名古屋市では、2027年のリニア中央新幹線の開業に合わせて、名古屋駅を起点に名古屋城や栄、大須といった繁華街や観光地を巡る交通システムの導入を目指し、BRTとLRTのどちらが適当か有識者による検討を進めてきましたが、レールや架線の整備が不要で事業費を抑えられるBRTの導入を目指すという結論に至ったとのことです。

 名古屋市は以前よりバスによる特徴ある交通システムが導入されています。代表的なものが「基幹バス」といわれるバスの運行システムです。現在、基幹1号系統(東郊線)と基幹2号系統(新出来町線、名鉄バスも本地ヶ原線として運行)の2系統が運行されています。特に基幹2号系統においては、カラー舗装された専用のバスレーンが道路の中央に敷設されており、停留所も路面電車の電停のように道路の中央に設置されています。また運行間隔も朝夕が4~5分間隔、昼間が10分間隔(栄発着の便、これとは別に名古屋駅発着が20分間隔で運行)と地下鉄並みの密度が確保されています。また、ガイドウェイバスといって市街地では専用軌道を半自動運転で走り、郊外では一般のバスとして走る路線も市内北東部のターミナルである大曽根を発着し郊外の守山区まで運行されています。

無題

 既にこういったバスの運行システムが確立されている名古屋市においては、広幅員の道路が確保されていることと相俟って、BRTの導入は比較的容易なのではないでしょうか。特に基幹2号系統は路面電車に近いシステムであり、今後整備される新路線も基幹2号系統の運行形態を発展させたようなイメージになるものと思われます。

 そこで気になるのが“名古屋走り”といわれ、全国的に悪名が高い名古屋の運転マナーの悪さです。基幹バス2号系統のバスレーンは平日の朝の時間帯のみバス専用となりますが、それ以外の時間帯はバスが優先であるものの一般車の進入も可能となっています。通常の走行車線よりもバスレーンの方が空いていることからバスレーンを猛スピードで走る車が多く、通りの通称名から“名古屋高速出来町線”など揶揄されることもあります。ただ、停留所や右折レーンの関係からバスレーンは交差点の手前でカーブしており、スピードを出し過ぎた車がカーブを曲がり切れず横転するなどの大事故もしばしば見られます。

 今後整備されるBRTの路線は各地からの観光客も多く乗る路線になると思われます。バスレーンをサーキットと勘違いした走行やバスへの急な割り込みなど、さすが名古屋走りの本場だと観光客に思われないように、バスレーンを一般車進入禁止にしたうえで、警察と連携して取り締まりを徹底するなどの対策が必要になるのではないでしょうか。