2027年のリニア中央新幹線 品川-名古屋間の開業を見据え、名古屋駅と豊田市中心部の鉄道での所要時間を短縮するため、名鉄三河線の複線化などの整備に要する費用について愛知県が公費を用いて支援するという記事が掲載されました。

 現在、名古屋駅から豊田市中心部への鉄道のルートは以下の3ルートがあります。

 ① 名鉄名古屋駅から名鉄名古屋本線経由、知立駅で乗り換えて名鉄三河線を経由するルート
 ② 地下鉄東山線で伏見駅まで行き、地下鉄鶴舞線に乗り換え、直接乗り入れる名鉄豊田線を経由するルート
 ③ JR中央線で勝川駅まで行き、愛知環状鉄道を経由するルート

 ①のルートは知立駅までは本数も多いのですが、知立駅からの名鉄三河線は15分に1本の運行間隔かつ単線で各駅停車のみの運行となっており1時間程度の時間を要します。②のルートについては、伏見駅で乗り換える必要があるとともに、各駅停車で運行せざるを得ない地下鉄線を経由するため、①と同じく1時間程度を要します。③のルートについては、遠回りで一番時間を要するため利用する人はあまりいないのではないでしょうか。
 
 東京、大阪、名古屋の三大都市圏について、一番手都市と二番手都市の鉄道でのアクセスの利便性を考えてみましょう。まず、東京圏についてみると東京・横浜間は、JR東海道線利用で約25分、東海道線のほかにも横須賀線や京浜東北線、ルートは違いますが渋谷からは東急東横線を利用できます。大阪圏でも、大阪から神戸の中心である三ノ宮へはJRの新快速で20分、阪急や阪神も頻繁に特急を走らせています。一方、名古屋圏では、上記のとおり利便性のよいルートは整備されていないのが実情です。

 名古屋と豊田を結ぶ鉄道路線が、一部が未だに単線というのもクルマ社会の名古屋らしいといえば名古屋らしいのですが、せっかくリニア新幹線が開通し、東京と名古屋が40分で結ばれることになっても、周辺の拠点都市へのアクセスが悪ければ波及効果が限定されてしまいます。

 仮に整備が行われ複線化が完了すれば、名鉄名古屋駅からの直通特急が運行され、豊田市まで40分で結ばれる予定とのことです。財政的に豊かな豊田市は、財政的な負担をする準備がある一方、連接点となる知立駅のある知立市は、財政難により駅の高架化事業が捗々しくないという話も聞きます。関係者間の調整が上手いこと図られ、なるべく早期にアクセスの改善が図られることを願ってやみません。