不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

土地

別荘地の管理費問題(必ず支払う?)について

先回のブログで相続土地国庫帰属制度をご紹介しました。

なぜこの制度をご紹介したかというと、山林や開発倒れの土地など、売却が困難な不動産を相続する方のほとんどが、お金を払ってでもそれらを処分したいことを経験で知っているからです。

山林や開発逃れの土地などの処分の相談を受けると、それらを買い取る専門の業者を紹介するなどして処分してもらっていますが、処分できない不動産があります。

その一つが、所有している限り管理費を払い続けなければならない別荘地です。管理費を請求される別荘地では、建物が建っていない未利用の場合でも毎年管理費が請求されることがあり所有者を悩ましています。

先ほどの専門業者の場合、管理費が発生している土地の買取は不可のため、悩ましい問題です。

また、先回ご紹介した相続土地国庫帰属制度でも、法務省の相続土地国庫帰属制度に関するQ&Aで「管理費の支払を巡ってトラブルになるような別荘地は、引き取ることができない可能性があります。」と記載されているなど、制度利用にはハードルがあります。

さて、お客様の相談を受けたある別荘地の件で調査をしていると、消費者庁が掲載している「ひょうご消費者ネットとハートランド管理センター株式会社の訴訟に関する控訴審判決について」の裁判資料に行きつきました。

上記の判決では、争いになっている別荘地に土地を所有している限り更新される管理契約は、消費者契約法第10条により無効であるとしました。

この判決が確定すれば、管理契約は自動更新しないことになりますので、管理の継続契約を希望しない場合は、管理契約は解除され管理費の負担はなくなります。

ただし、管理会社側が控訴しましたので、最高裁(この時点で日程確認できず)まで最終判決は持ち越しとなりました。別荘地の管理費は別荘地を所有し続ける限り払い続けなければならないのか?払わなくてもいいのか?自分の業務の中では重要な裁判になっています。

相続した売れない土地、国が引き取ってくれるかも!?

令和5年4月27日から始まる「相続土地国庫帰属制度」はご存じでしょうか?

この制度は、相続または遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により取得した土地を国庫に帰属させることができる制度です。

不動産の仕事をしていると、売ってあげたくても売れない不動産があります。例えば、限界集落と言われる過疎化や少子高齢化が問題になっている地域などでは、不動産の需要が乏しく値段を下げても簡単には売却できません。

不動産が売却できないと毎年負担する固定資産税など負担がかかります。何とか処分したいために、自治体へ寄付について相談したこともありますが、自治体が引き取ったことは一度もありません。

しかし、「相続土地国庫帰属制度」では、建物付きの土地などは引き取ってもらえませんが、土地については一定の条件をクリアし負担金を納付することで国が引き取ってくれます。引き取ってもらえない土地の条件については法務省のホームページでご確認ください。

なお、制度開始にともない、令和5年2月22日より相続土地国庫帰属制度の相談対応が始まります。

相談先は、国へ引き取ってもらいたい土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門になりますが、その土地がお住まいの地域から遠方にある場合など、その土地が所在する法務局・地方法務局(本局)への相談が難しい場合は、お近くの法務局地方法務局(本局)でも相談が可能です。なお、支局・出張所では相談は受付られていませんのでご注意ください。

相続した土地が売れなくて困っている方は、本制度の活用を考えてみてはいかがでしょうか。

土地に何か埋まっていると、処分費が大変なことになる!

先日、当方の仲介で土地の売買契約を締結しました。

その土地は、売主様が、先代より引継ぎ、長年月極駐車場として利用されていました。そのため、アスファルトをはつり、更地の状態で買主様に引渡しをすることが売買の条件でした。

売買契約後に、専門業者にアスファルトをはつってもらい、その後、土地全体の地面を50㎝ほど掘り起こし、土の中に何か埋まっていないかを確認してもらいました。

土の中の確認は、不動産の売買契約に記載されている売主の瑕疵担保責任に関係があります。

瑕疵とは、売主も買主も把握できないもので、土地の売買を例にすると、土の中に埋まっている、解体した建物の建材や、瓦、家庭ごみ、井戸などが考えられます。※瑕疵には、心理的な瑕疵などもあり、なかなか一言で説明することはできません。

瑕疵は、土地の引渡後に分かることもありますが、引渡後に分かると、その後の買主様の建物建築のスケジュールなどにも影響がでるため、仲介者としては、事前に把握しておきたいところです。

さて、本件土地の土の中ですが、昔の焼けた建物建材、瓦、食器、燃えた布、ヘルメットなどが大量に埋まっていました。また、燃えた形跡のある土壌も多く見つかりました。専門業者いわく、戦争の時に建物が焼失したものをそのまま埋めたのではないかということでした。

土の中に、建物建材など、大きなものであれば取り除くのは簡単です。しかし、瓦や食器などの細かい破片になると、全てを機械で取り除くのは難しくなります。その時はどうするかというと、土の入れ替えになります。

細かい瓦などが入った土については、産業廃棄物として処理することになります。その処理費用は、長年不動産業をしている当方も目が飛び出るぐらい高いです。

今回の土地は、戦時中に焼けた建物をそのまま埋めたのではないかと考えられ、当時の状況を考えると仕方がないかと思いますが、土地にゴミを埋めたりすることは、その土地の価値を下げることに繋がります。安易にごみを捨てないよう(捨てさせないよう)注意が必要です。

所有者不明の土地による経済損失は6兆円!?

一般財団法人 国土計画協会の所有者不明土地問題研究会(以下「問題研究会」とします。)が、10月26日に、所有者不明の土地が今後どれだけ広がるか、また、その面積の将来推計と経済損失について公表しました。

この公表は、各紙の新聞やニュースなどで取り上げられましたので、知っている方も多いかと思います。

私が衝撃を受けたのは、“経済的損失が約6兆円(2017~2040年の累計)”になるということです。

普段より、空き地や、取引する土地の隣接地について登記簿を取得することが多くあります。登記簿には所有者の記載があるため、取引に関連する連絡をしたいときや、不動産を購入いただく方に隣接地の方をお知らせするためです。

しかし、登記簿に記載されている所有者は実際の所有者と異なることが多くあります。登記は第三者への対抗要件になりますので、売買の場合はほとんど登記をするのに、相続では登記をされない場合があります。それは、登記に強制力はないため、各々の判断で行われているからです。

なお、相続登記をしないまま相続を繰り返すと、所有者がネズミ算的に拡大し、全員と連絡を取ること、意見をまとめることが困難になります。このことも問題研究会は指摘しています。

このように、普段より、登記簿の所有者と真の所有者が異なる登記簿を数多く見るため、この公表の題目を見たときに、所有者が不明(分からない)の不動産は多いだろうというのは推測はできたものの、経済的損失までは思いつきませんでした。

経済的損失の項目と経済的損失は下記のとおり公表されました。
①探索コスト             約500億円
②手続きコスト           算出不可
③機会損失             約22,000億円
④災害発生時の潜在コスト    算出不可
⑤管理コスト             算出不可
⑥管理不行き届きによるコスト  約36,000億円
⑦税の滞納             約600億円    合計約6兆円

この中で、多くを占めるのが、機会損失と管理不行き届きによるコストです。

機会損失では、所有者不明の土地所有者と連絡が取れず、用地取得が遅れ、予定通りに事業が行われなかった場合などを想定しています。

管理不行き届きによるコストは、主に農地や森林などを想定しています。農地や森林が手入れさてていれば、農地では、洪水防止、土砂崩壊防止等、森林では、二酸化炭素吸収、表面浸食防止、洪水緩和等の機能が発揮されないことを想定しています。

問題研究会のアンケートによると、今後の相続でも30%近くの方が相続登記をされず、所有者不明土地は、ますます増加するようです。

バブル期と異なり、不動産神話は崩れ、不動産の価格は右肩上がりとはいきません。そのため、不動産に関する関心が薄くなったからか、相続しても利用しないこと、価値が低いということが、相続登記をしない理由かもしれません。

しかし、現状のように、登記を各々に任せていると今後も、登記簿の所有者と真の所有者が異なるなどの所有者不明土地が増え、経済的損失が減少することはありません。

公共事業の用地取得をする場合など、取得用地の所有者が登記簿の所有者と異なり、真の所有者と連絡がつかない場合は、失踪宣告の制度のように官報等で公表し、ある一定の期間が経過した場合には、対象地は国庫に帰属するなど、制度変更が必要だと感じました。

不動産業者にも専門分野がある!?

郊外の車の通行が多い、大通沿いの土地に、
相続税対策なのか、賃貸マンションを建築している現場を見ることがあります。
鉄道の駅も遠く、住宅の需要も弱い地域です。

そんな、大通り沿いにある賃貸マンションを見ると、
賃貸経営はうまくいくのか?空室が増えないか心配になります。

コンビニや飲食店などの出店を考えられている企業や、
開業を考えられているドクターなどは、大通り沿いの土地を探していますので、
そのような方たちに、土地を紹介されたのか気になってしまいます。

一般の方の中には、不動産業者はすべての不動産に精通していると思っているかもしれませんが、
実際は、不動産売買を専門にする業者、不動産賃貸を専門にする業者、
賃貸マンション建築を専門にする業者、テナント誘致を専門にする業者
など、不動産業者は多種多様です。

専門分野以外の相談には乗らない業者は意外と多いかもしれません。

例えば、賃貸マンション建築を専門にする業者にとって、
その土地に賃貸マンションを建ててもらわなければ、収益の機会を失うことになります。
そのため、お客様には、賃貸マンション建築についてはメリットを伝え、
その他の借地などの提案についてはデメリットを伝えるかもしれません。

土地の活用にミスマッチが起きないように、
相談相手を間違えないように気を付けなければなりません。

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