埋蔵文化財とは、土地に埋蔵されている文化財(主に遺跡といわれている場所)のことをいいます。

埋蔵文化財の存在が知られている土地を「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいます。周知の埋蔵文化財包蔵地は全国で約46万カ所あり、毎年9千件程度の発掘調査が行われています。周知の埋蔵文化財包蔵地は、周囲に城や寺、古墳などがある場合に指定されていることが多いです。

さて、周知の埋蔵文化財包蔵地にある不動産を売買するときはひと手間かかります。

文化財保護法では、周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事などの開発事業を行う場合には、都道府県・政令指定都市等の教育委員会に事前の届出等(文化財保護法93・94条)をすることになっています。

土木工事等の開発事業の届出等があった場合、都道府県・政令指定都市等の教育委員会はその取り扱い方法を決めます。当方の事務所が所在する名古屋市では以下の4つの指示を受けることになります。
○発掘調査の実施(費用負担有。ただし個人が自宅を建てる場合は除く。)
○常時立会の実施(費用負担有)
○施工状況確認のための立会(費用負担無し)
○慎重工事(費用負担無し)

詳しくは、名古屋市のホームページで確認いただきたいのですが、工事の手続きに一定の期間が必要なことや、工事中に、遺構や遺物が確認された場合は、一時的に工事を中断し遺物の採集や写真撮影などを行なう必要があるなど、工事がスムーズに進まない可能性があります。

このように、周知の埋蔵文化財包蔵地で不動産の取引をする際は、引渡までの期間や費用などに注意が必要です。