不動産コンサルタントのつぶやき

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空家

空家の3,000万円特別控除が利用しやすくなる!?

あけましておめでとうございます。
当社も本日より本年の営業がスタートしました。

本年は、平成が終わり新年号になることや、消費税率の引き上げなど変化の年となります。
本年度もいろいろな出来事について感じたことなどを本ブログで伝えたいと思います。


さて、昨年末に財務省より、平成31年度税制改正大綱が公表されました。
不動産に関する税制も変化がありそうです。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/index.html


税制改正大綱の中で、私が関心を持ったのが、2年前に創設され、大きなインパクトがあった“空家の3,000万円特別控除”です。空家の3,000万円特別控除は、要件が緩和され、利用しやすくなるようですので、今回は、その点について記載したいと思います。


空家の3,000万円特別控除を簡単に説明すると、被相続人が亡くなって誰も住まなくなった空家を相続し、
その空家を売却した場合、譲渡所得に対し3,000万円の特別控除が利用できるというものです。

制度については、国税庁ホームページをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm


本制度は、空家を相続する方にとってはメリットのある制度なのですが、利用しづらい規定もありました。


それは、制度を利用する要件の中で、被相続人は、自身が亡くなるまで自分の家に住み続ける(生活の拠点にする)必要がある点です。

しかし、一人で自宅に亡くなるまで住み続けることは、介護等の問題もあり難しく、実際には老人ホームなどの施設で生活される方もいらっしゃいます。


現在の本制度では、老人ホームなどの施設に入居したことが原因で、自宅が空家になった場合は、本制度を利用することができませんでした。

しかし、今回の税制改正大綱では、下記の要件を満たせば、本制度が利用できると記載されています。


①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の直前まで老人ホーム等に入所をしていたこと。
②被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、 事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。

今回の税制改正は実態に合わせた改正であり、本制度がより利用しやすくなると思います。
また、本制度の利用期限が2019年12月31日から4年間延長されるようです。
空家を相続される可能性のある方は、本制度を確認されてはいかがでしょうか。

※本税制改正は、国会で成立・公布され、4月から施行の予定です。

相続で取得した実家、活用より売却した方がよい場合もある!?

 昨今では、親の家を離れ、自分で土地建物を取得する方が多いのではないかと思います。

 そのため、相続により、親の家を取得した場合には、どのように活用すればよいか悩むところです。

 "先祖代々から受け継がれてきた不動産"、"親が残してくれた家"、親と同じように次世代へ残していくべきではないかと考える方もいらっしゃいます。その気持ちは当然だと思います。

 そのため、引き継いだ不動産についいて、利用することはないので、「売却ではなく、何かに活用できないでしょうか?」という相談をいただきます。

 相談されるのが、住宅地とすると、活用方法は、そのまま改装して賃貸する。建物を解体して駐車場・アパート建築・賃貸用の戸建を建築するなどに限定されます。

 活用方法を模索するために、建築費を算出、賃料査定をし、投資回収までの期間など調べた上で、活用方法についてアドバイスさせていただきます。

 しかし、ご相談を受ける不動産の中には、活用するのではなく、売却について検討いただくことがあります。

 それは、アパート建築など投資をしても、将来の賃料下落、昨今の建築ラッシュによる競合物件の増加、空室率の上昇などの理由により、投資金の回収はおろか、融資の返済に困る可能性のある場合です。

 その場合は、空き家の3,000万円特別控除を利用して、売却することをお勧めします。というのは、先祖代々引き継いできた家の場合、土地や家屋の取得費が不明なことが多く、納める税金が多いのが難点だったのですが、平成31年12月31日までに譲渡することができれば、特別控除を利用することにより、手取り額が増えるからです。

親が住んでいた土地建物(取得費不明)を3,000万円で売却する場合の税額計算
※取得費不明のため、概算取得費(譲渡収入金額×5%)を利用するものとする。
※譲渡費用は100万円とする。
※税額は1万円未満切り捨てとする。

譲渡収入金額3,000万円-(取得費150万円+譲渡費用100万円)=譲渡所得2,750万円
課税譲渡所得2,750万円×所得税・住民税20.315%=558万円

空き家の3,000万円特別控除を利用した場合
譲渡収入金額3,000万円-(取得費150万円+譲渡費用100万円)=譲渡所得2,750万円
譲渡所得2,750万円-特別控除3,000万円課税譲渡所得0円
⇒課税譲渡所得が0円になるため、税金はかからない。

この場合の差額は、558万円!!!

なお、空き家の3,000万円特別控除を利用する場合、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である平成31年12月31日までに譲渡することが条件となります。

空き家の3,000万円特別控除の利用条件は、国税庁HPをご参照ください。 

 

コンパクトシティ政策と住宅着工数

国の政策でコンパクトシティ化が進められていることは皆さんご存知かと思います。

国土交通省のHPにて(コンパクトシティ化のための)立地適正化計画作成の取組状況が公表されており( http://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/toshi_city_plan_fr_000051.html )、
立地適正化計画の作成について具体的な取組を行っている都市は309団体、各都市における立地適正化計画作成の主な取り組みを行っているのは103団体となります。

コンパクトシティとは、人口の急激な減少と高齢化を背景として、
高齢者や子育て世代にとって、安心できる健康で快適な生活環境を実現することを目的に、
医療・福祉施設、商業施設や住居等をまとまって立地させることなどをいいます。

今後人口が減っていくことは周知されており、既にその影響が出ています。
国は今後のことを考えて、コンパクトシティなどの対応を取っていると思います。

しかしながら、平成29年1月31日に国土交通省は「建築着工統計調査報告」にて、
建築着工数について、持家、貸家及び分譲住宅が増加し、全体の住宅着工数が増加となったと公表しました。特に目立つのが、貸家の建築着工数です。なんと前年比10.5%の増加だそうです。貸家の増加は5年連続で、5年前と比べると31.4%増加しています。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020102.do?_toGL08020102_&tclassID=000001011994&cycleCode=7&requestSender=search

人口減少に対応した政策が取られているのに、人口増加のような貸家の建設ラッシュ。
住宅需要があるところに建設が集中しているのであればよいのですが、住宅需要がなさそうな交通の利便が悪いところでも、アパートなどが建設されているのが気にかかります。
貸家の建設ラッシュには、相続税率が引き上げられたことにより、相続対策として建築された方など、いろいろな要因はあるかとは思いますが、空家の増加も公表されており、貸家を建設された方の今後の貸家経営が成り立つのか心配になります。

住宅売買の最も活発な時期

住宅売買の最も活発な時期を皆さん知ってらっしゃいますか?

それは、毎年2~3月になります。

公益財団法人不動産流通推進センターが公表している、
データ(下図参照)を掲載しますのでご参照ください。

なぜ、2~3月に住宅の売買が多くなるのかというと、
4月の年度初めを機に住宅を購入される方が多いからではないかと思います。
毎年4月は、入学や転勤など、新生活を始めるにはタイミングのいい時期になります。

空家の売却を考えられている方は、この時期に売却してみてはいかがでしょうか。
住宅を探されている多くの方に、検討いただけるのではないかと思います。

なお、この時期に住宅のご売却をお考えの方は注意が必要です。
この時期に住宅の購入を考えられているのは、4月から新住居で新生活を始めたい方になります。
その方たちは、少なくとも3月末には、引っ越しを済ませる必要があります。

3月末までに、買い手へ所有権移転をするためには、買い手の住宅ローンの手続きや、
売却する中古住宅に設定されている抵当権の抹消登記の手続きなどがあるため、
余裕を持って売買契約を締結していることが必要になります。

新年度を機に引越を希望される方へ、販売する住宅をアピールするためには、
少なくとも1月には販売活動を開始したいところです。

売り物件成約報告件数の最近の動向
区分平成27年平成28年
9月10月11月12月1月2月3月4月5月6月7月8月
マンション5,709件5,966件5,861件5,219件5,067件6,801件7,141件6,481件5,757件5,932件6,062件4,881件
一戸建4,817件4,889件4,847件4,189件3,954件5,431件5,688件5,084件4,960件4,911件5,224件4,231件
参考:公益財団法人不動産流通推進センター 2016不動産業統計集(9月期改定) 3不動産流通

公益財団法人不動産流通推進センター
http://www.retpc.jp/chosa/tokei

人口が減少し、空家が増えれば不動産価格は下落する!?

2020年に開催される東京オリンピックや、2027年開業予定のリニア中央新幹線などは、
経済を活性化させる可能性があり、不動産価格に好影響を与えるだろうと期待されています。

しかし、不動産については、明るい話題ばかりではありません。
人口減少や増え続ける空家問題などがその代表かと思います。

人口減少や増え続ける空家については、
統計結果などが報道で公表されますが、
その内容を確認すると、今後の不動産価格について考えさせられます。

人口動態で私が参考にしているのは、国立社会保障・人口問題研究所のデータです。
地域ごとに数値化されているので、身近な地域の人口動態を感じ取ることができます。
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/3kekka/Municipalities.asp

上記サイトで、当社が主に営業している名古屋市内の30歳代(男女30~34歳の人口)のデータを見ますと、
2015年151903人に対し、2025年になると121942人に減少します。減少割合は20%。

30歳代は住宅の一次取得層として考えられていますが、住宅取得層が減れば、
現在のペースで戸建てやマンションを建てても、売れつづけることは難しくなりそうです。
また、それにともない、空家増加にもつながるかと思います。

住宅が売れなければ、不動産の価格にも影響が出そうです。

※すべての地域で人口が20%減少するわけではありません。
  人口動態は地域によって異なります。詳しくは、国立社会保障・人口問題研究所のHPにて。




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