何年か前の話ですが、テレビのニュースで東京駅周辺の『放置自転車』が問題になっているという話題を目にしたことがあります。中央区や江東区の湾岸部でタワーマンションが増加し、そういったエリアに住む人が東京駅周辺に自転車通勤するようになったものの、そもそもそういったことを想定していなかったため、放置自転車が増えている、というような話だったと思います。その後、何らかの対策が取られたのかもしれません。

 それでは、名古屋駅周辺の自転車駐輪事情はどうなっているのでしょうか。

 まずご紹介したいのは、3月9日に開業した『大名古屋ビルヂング』です。このビルでは中部地方初となる『サイクルツリー』(収容台数952台)が備え付けられています。どのようなものかというと、地下に円筒形の駐輪スペースが4基設けられており、地上にあるのは入出庫のブースのみです。所定の位置に自転車を置き入庫ボタンを押すと機械が前輪を掴み、地下に自動的に吸い込まれていきます。出庫の際はICカードをかざせば数十秒で自転車が出てきます。弊社が入居するJPタワー名古屋には駐輪場がないため、業務用の自転車をこの大名古屋ビルヂングの駐輪場に停めていますが、今のところ入庫待ちに遭遇したことはなく、ストレスフリーに自転車を駐輪できます。

 なお、大名古屋ビルヂングの駐輪場ですが、入庫できる自転車の大きさが決まっているため、事前の登録と車検が必要です。初期登録費は700円、一時利用は24時間100円、定期利用は1ヶ月2,000円、3ヶ月5,500円です。

 また、当然のことながら名古屋駅周辺は広域的に自転車等放置禁止区域に指定されていますが、その分、民営の自転車駐輪場も整備されています。歩道に設置されたもので、ラックに自転車の前輪を押し込むと1分後にロックされるタイプです。1階100円で回数券(1,000円で11回、3,000円で34回)も発売されています。

 筆者も何回か通勤で利用したのですが、駅から少し離れたところであれば、朝8時台でも十分に空きはあります。そういった意味では、今のところ、名古屋駅周辺の自転車駐輪事情は問題なし、ということができそうです。

 しかしながら、大名古屋ビルヂングやJPタワー名古屋に続き、来年にはJRゲートタワーの開業も控えています。オフィスワーカーだけでも数万人が増加することが予想されています。もしかしたら問題なく自転車が駐輪できるのは今のうちだけかもしれません…。