土地や建物の取引において、隣接地との境界を確定することや、お互いの構造物の越境関係を確認することは重要です。

区画整理地など、新しく開発された街並みでは、隣接地との境界がはっきりしているため、越境関係が生じている可能性は低いのですが、古くからある街並みでは、確定測量をして、お互いの境界が確定すると、雨樋や塀の一部が隣接地にはみ出していたり、隣接地からはみ出ていることが少なからずあります。

構造物が隣接地へはみ出していることや、隣接地からはみ出ていることを、不動産取引上「越境」といい、越境している構築物を「越境物」といいます。

越境物がある場合は、すぐに相手方に撤去を求めることはせず、再構築が必要になったときには、今回決まった境界を順守するとする、覚書を取り交わすことで、解決していくことが多いです。

越境物は、建物の一部や、塀などの構築物に多いですが、稀に敷地の上空に電線や支線が通過していることがあります。その場合は、電線等を所有している電力会社などへ、その電線や支線が通っている電柱に記載されている電柱番号を伝え、撤去を要請することになります。

電線等は、建物の上空を通過しているため見落としがちです。また、電力会社などに撤去を要請してもすぐに撤去してくれませんので注意が必要です。越境関係を確認する際は、建物だけではなく、空を見上げ、建物の上空を確認することが必要です。