新型コロナウイルス感染症拡大の影響により地価が大きく下落した地域で路線価の減額補正が再び適用されることとなりました。

対象となる地域は、大阪市の“ミナミ”といわれる繁華街・歓楽街で、対象期間は令和2年10~12月となります。この間に相続等により対象地域で土地を取得した場合、路線価に「地価変動補正率」を乗じることにより評価額を算出することになります。既に公表されていた同年7~9月分では対象地域が3地域でしたが、今回は13地域と10地域も増えています。

相続等により土地を取得した場合の税額の算定に用いる路線価ですが、地価の実勢水準の80%程度に抑えられています。一方、路線価は毎年1月1日を基準日としているため、1年間に20%以下になるような大幅な地価下落があった場合、地価の実勢水準が路線価を下回ってしまうことになり、納税者の不利益とならないよう、このような措置が講じられています。

なお、名古屋市の代表的な繁華街である錦3丁目では、下落率が20%以下にならなかったことから「地価変動補正率」の対象地域にはなりませんでしたが、「個別の期限延長」により、令和2年10月から12月までの路線価の補正に係る公表の日(令和3年4月23日)から2か月間、贈与税の申告・納付期限を延長できることとされました。

今回の公表により、令和2年分の路線価については、講じられる措置がすべて明らかになりました。今後について、令和3年分の路線価は、令和3年1月1日を算定基準日とし、7月に発表される予定です。

足元の状況としては、3回目の緊急事態宣言が東京・大阪・兵庫・京都の4都府県を対象に発出されることになっています。2回目の緊急事態宣言とは異なり、大型商業施設(生活必需品を販売する小売店などを除く)や酒類やカラオケ設備を提供する飲食店などに対する休業要請、プロ野球やJリーグなどのイベントの無観客開催の要請などかなり厳しいものとなっています。今回の措置は、減額補正の対象となった大阪・ミナミをはじめ、各地の繁華街・歓楽街の地価に大きな影響を与える可能性があります。様々な面で先行き不透明ともいえる状況ですが、今後の地価の動向についても注意深くウオッチする必要があると感じています。

国税庁 令和2年分の路線価等の補正について(10~12月分)

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 撮影日:令和3年4月9日